走りを忘れない大人へ、新型ポルシェ・パナメーラ
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走りを忘れない大人へ、新型ポルシェ・パナメーラ

2009年の上海モーターショーで話題をさらった、ポルシェ初の4ドア4シーターモデル。それが『パナメーラ』だ。満を持して高級サルーン市場に参入した『パナメーラ』は世界中でヒットを飛ばし、ポルシェの新しい一面を引き出した。それから7年、ドイツのベルリンで、ついにフルモデルチェンジした2代目がお披露目された。

「ポルシェブランド」の意匠を踏襲したパナメーラの外観

新型『パナメーラ』を見た第一印象は、キープコンセプト。「『パナメーラ』は『パナメーラ』」といったところだろうか。これは、『911』がモデルチェンジしてもすぐに『911』とわかるのと同じこと。ポルシェのモデルチェンジは、形状が変われども、ブランドの世界観をしっかりと引き継ぎつつブラッシュアップさせるのだ。

もちろん、細部に目を配ると、さまざまな部分が刷新されていることがわかる。たとえば、サイズは全長5049×全幅1937×全高1423mmと、従来型よりそれぞれ34、6、5mmずつ大型化。

全高は増したが、リアシート上部の天井高を20mm削減したことで、シルエットはいっそう低く長く見える。また、ホイールベースを30 mm延長して、のびやかなプロポーションを実現。これは、ポルシェのデザインアイコンである『911』とスタイルのつながりを生み、エクステリアがよりシャープになった。

フロントフェイスでは、スポーティーな4灯のLEDヘッドライトが印象的だ。これは、ル・マン24時間で2連勝を飾った「919ハイブリッド」を想起させる。まるで、「『パナメーラ』は高級サルーンであり、まがうことなきスポーツカーである」ことを主張しているようだ。ボディも、フロントフード、ラゲッジコンパートメントリッド、フェンダーなどにアルミを採用。ダイナミックなルーフラインがこれまで以上にスポーツカーのシルエットを際立たせている。

最高速度306km/h、世界最速の高級サルーン

スポーツカーである矜持は、そのパワートレインに最も顕著に表れている。新型『パナメーラ』のラインナップは、4輪駆動ガソリンモデルである『パナメーラ 4S』と『パナメーラ・ターボ』、そして、日本では導入未定だが、ディーゼルでは初となる4輪駆動モデル「パナメーラ S ディーゼル」となっている。

『パナメーラ 4S』の心臓部は2894ccのV6ツインターボ。最高出力440ps(324kW)/5650-6600rpm、最大トルク56.1kgm(550Nm)/1750-5500rpmを発揮する。これに、8段の新型のPDK(デュアルクラッチ式トランスミッション)を組み合わせた。

上位グレードの『パナメーラ・ターボ』(下の写真)は最高出力550ps(404kW)/5750-6000rpm、最大トルク78.5kgm(770Nm)/1960-4500rpmを発揮する3996ccのV8ツインターボを搭載した。0〜100km/hの加速タイムは3.8秒、スポーツクロノ仕様車では3.6秒、最高速度は306km/hに達するこのモンスターマシンは、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、7分38秒のタイムを計測。世界最速の高級サルーンといっても過言ではないだろう。
高級サルーンでもサーキットにこだわる様こそ、ポルシェがポルシェたる所以のひとつ。そのため、『918スパイダー』と『911ターボ』由来の装備であるリアアクスル・ステアを採用したり、車両の走行挙動をリアルタイムに検出してシャシーを制御する「4Dシャシーコントロール システム」を採用したりと、現時点でのポルシェが持ちうる電子デバイスを最大限採用している。

1955年のポルシェ「356A」へのオマージュ

コクピットはスポーティーな雰囲気を残しつつも、まさに高級サルーンのそれだ。デザインはより洗練され、使いやすさは未来に向けて再構築された。

ダッシュボードとセンターコンソールをT字型に配置する基本デザインはそのままに、センターコンソールにブラックのパネル面とインタラクティブなディスプレイを設置。従来のハードキーとメーター類は大幅に縮小され、タッチパネルと個別に設定可能なディスプレイに置き換わり、直感的な操作マトリックスと、車の制御のための実用性を兼ね備えた。

ちなみに、メータパネルの中央にレブカウンターが設置されているが、これは1955年の『356A』に対する敬意を表しているとのこと。往年のポルシェファンにはたまらない意匠だろう。
ポルシェは、新型『パナメーラ』について、「純粋なスポーツカーのパフォーマンスとラグジュアリーサルーンの快適性という2つの相反する特性をこれまで以上に高次で調和させた」としている。まさに、走りを忘れない大人が選びたいポルシェだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi