おとなの週末_1607号
- おとなの週末 powered by éditeur -

神楽坂 自由自在  しっとり大人の美味めぐり 『藤九郎屋』

かつては文豪も多く暮らし、趣ある石畳の小道や料亭には今も花街の風情が残る、神楽坂。和洋を問わず、魅力的な店も数々。
そろそろ「おと週」としても腰を据えて紹介したいところ。そんなわけで、しっかり歩いてその魅力探ってきました!

撮影/谷内敬樹
取材/池田一郎

神楽坂上右手界隈が最近はさらにまた面白い

神楽坂というと、人によってはビストロや小粋なバルが多い街ってイメージもあるだろう。それももちろん正解。だけど今回、ここで和のお店に絞ったのには訳がある。

神楽坂のいい店って、顔があるっていうのかな、一様でなくいろいろ。であるがゆえに、その日の〝気分〟にジャストな選択肢も見つけられる。感情の機微に応えてくれるってところが色っぽい。で、その気の利いた多様さとしっとり具合を実感していただくならば、やっぱり「和」でしょというわけだ。

藤九郎屋

こちらの小さいが風格のある門構えには気合を感じるが、何やら爽やかな気配もあり。ついっと門をくぐってみれば大正解。ちゃんとしっかり、だけどしっぽり和食を楽しみたいなという日にはおすすめだ。ご店主の一品一品への仕事が細やか。で、季節感豊かな美味しさの向こう側から、気持ちいい気も伝わってくる。
お通しの前菜豆皿 1800円
(内容は時季により変わる)
 コースの前菜は、季節の野菜中心のおばんざい、豆皿から。新じゃがのスープ、汲み上げ湯葉の黄金餡かけ、黒毛和牛と新ごぼうの黒胡麻和えなど。コースは5000円〜

食材の美味しさを最大限引き出す、細やかな仕事が鮮やか!

最高の食材と究極な仕事――それが目指すところという仕事には妥協なし。京都の黒毛和牛専門店から届く和牛、鮮魚、季節の野菜。仕入先も多岐にわたる。その仕事には前菜である豆皿ですでにハートを掴まれるはず。盃に盛られた9種の小鉢は見た目も美麗。一つひとつ、調味料まで丁寧に仕事がされている。ダシまで余さずに味わいたい。
豚角煮と冬瓜のとろろがけ 1200円 角煮はとろけるように柔らかく、とろろとまたよく合う。丁寧に炊かれた冬瓜も美味
そら豆のかき揚げ 1200円、蕎麦 800円 北海道幌加内産の粉で自ら打つ〆の蕎麦はほのかに甘く、ツユも旨い