銀座の路地裏一軒家で噂の「チャコリ」を先取り
- オトナだからこそ味わいたい!極上の逸品 -

銀座の路地裏一軒家で噂の「チャコリ」を先取り

街角のバルから高級レストランまで、さまざまなスペイン料理店が激戦を繰り広げている銀座エリア。銀座5丁目から7丁目にかけて、外堀通りとコリドー通りの間を走る道沿いだけでも、なんと5店ものスペイン料理店が林立しているという。その通りから路地を入った場所にたたずむ「パイス バスコ」は、美食家たちが熱い視線を注ぐバスク料理を、バスクの地酒「チャコリ」とともに楽しめる一軒家の料理店。店名の意味はずばり「バスク州」だ。

世界一の美食文化を身近に、気軽に堪能

スペイン北部のフランス国境に位置するバスク州は、「食はバスクにあり」と言われるほど、独特の食文化で知られている。大西洋の新鮮な魚介類を使った魚料理が有名で、バルでおなじみのピンチョスやタパスの発祥の地でもある。特に、サン・セバスティアンは、スペインに7店あるミシュランの3つ星を獲得したレストランが3店も密集する美食都市(ちなみに、星の数を合計すると世界一)。その一店である「マルティン ベラサテギ」で働いていた山田朋仙シェフが、「バスクの食文化を伝えたい」と、2012年にオープンした店がパイスバスコである。
オープンキッチンとカウンター、テラス席などがあるバルスタイルの一階は常に活気にあふれており、テーブル席の二階と三階は、レストランと食堂の中間といった雰囲気だ。少人数でカジュアルに楽しむなら一階で、腰を落ち着けて食事をしたいカップルや、3名以上のグループはテーブル席がおすすめだ。料理とドリンクのメニューは全階共通なので、シーンに合わせて使い分けたい。
バスク名物のピンチョス(各350円)やタパス(各350円)は前菜代わりにぜひオーダーしたいところ。「ギンディージャ(細長ピーマン)、オリーブ、アンチョビ」「ゆでたまご、アンチョビ、タルタルソース」「フェイク アングイーラ(ウナギの稚魚のフェイク、ガーリックオイル煮)」(すべて上の写真)など、一口サイズなのでいろいろな味を楽しめるのがいい。迷ったら「本日のタパス、3種盛り合わせ」(1050円)がおすすめだ。
一度は必ずオーダーしたい伝統料理が、バスク産のバカラオ(干し塩鱈)をニンニクとオリーブオイルでじっくり煮込んだ「スペイン産バカラオのピルピル 季節の瓜と共に」(1900円/上の写真)。本場はかなりこってりしているが、山田シェフが日本人の口や胃に合わせて優しい味付けに仕上げている。バカラオを使った伝統料理は、その他にも、クロケッタ(500円)、フリット(1850円)、リゾット(1450円)などが並ぶ。また、カニの甲羅に、色々な野菜とたっぷりの身を詰めてオーブンで焼いた「バスク伝統 カニの甲羅焼き」(1650円/下の写真)も魚介好きにはたまらない。
「フォアグラ、穴子、果物のミルフィーユ」(1200円/下の写真)は、山田シェフが働いていたレストラン、マルティン ベラテサギのシグニチャーメニュー。新バスク料理の風を感じられる一品だ。
その他、肉の炭火焼きや魚料理などのバスク料理を中心に、スペイン料理や、オリジナル料理など、メニューは多彩。バスク料理初心者ならば、「バスク入門セット」(1人3000円)をオーダーすれば間違いない。

バスクの食と辛口微発泡の地酒「チャコリ」とのマリアージュを堪能

バスク料理に合わせたいアルコールが、微発泡性でアルコール度数が低めの辛口白ワイン、「チャコリ」だ。バスク料理の人気とともに、世界的に注目度がアップしているバスク地方の地酒である。バスク地方は雨が多く湿度が高いのでいわゆるワイン用の葡萄作りには適しておらず、独自の地酒を育んだ。

日本ではなかなか出合う機会がなく、スペイン料理店でも1種類仕入れているかどうかというレアな存在だったが、パイス バスコではなんと常時8種類を取り揃えている(グラス800円、ボトル5000円〜7800円)。チャコリの特徴はなんといってもそのカジュアルさ。ワイングラスではなくコップに、写真のようにできるだけ高い位置から勢いよく注いで、シュワっと泡立った状態のものを飲むのが本場のスタイルだ。ちなみにこの注ぎ方は、ゲタリア産のチャコリに適しており、ビスカイ産のチャコリは発泡性が弱いので普通の白ワインと同じ注ぎ方だ。
チャコリは魚介料理や炭火焼きなど、どんな料理にも合う万能選手だが、お手合わせ的にトライしたいのが、「ギンディージャ(細長ピーマン)、オリーブ、アンチョビ」のピンチョスだ。バスクでは「ヒルダ」と呼ばれる、辛味、酸味、塩気がオリーブオイルで三位一体となったこの定番ピンチョスを一口で頬張った後のチャコリは初めての体験をもたらすだろう。

その後はチャコリをグラスでお代わりするもよし、チャコリやスペインワイン(白3500円〜、赤4400円〜)をボトルでオーダーするもよし、レアなバスクビール(1200円)にトライするのもいい。この店には時間制限なんて野暮なものはないので、欲望のままに飲み食いしながら、存分に語り合う日にぴったりだ。もしくは、一階のカウンターでピンチョスを一つ、チャコリで流し込んで次の店に行くもよし、接待帰りに気分を変えるために一杯飲んで締めてもいい。
2015年末にはミシュランのビブグルマンにも選出され、いまや予約必須の人気店となったパイス バスコは、ありきたりのスペイン料理では飽き足らない40代の男たちに、新たな美食の扉を開けてくれる。

Text by Kazumi Kera