2シーターオープンの頂点『メルセデス・ベンツSL』
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2シーターオープンの頂点『メルセデス・ベンツSL』

『SL』が、メルセデス・ベンツにおいて特別なモデルであることに異論を唱える者はいないだろう。1954年に誕生した初代モデル『300SL(W198Ⅱ)』は、個性的なガルウィングドアと世界初のガソリン直噴エンジンを採用。世界中のカーガイを魅了し、日本では石原裕次郎の愛車としても有名になった。以降、新型が発表されるたび、常に時代の最高峰に君臨する2シーターオープンスポーツとして、6代に渡り確固たる地位を築いている。もちろん、今回発表された新型『SL』も、「最高」に相応しい1台だ。

大きく変わった新型『SL』のフロントフェイス

新型『SL』は、2011年に発売されたモデルのビッグマイナーチェンジとなる。しかし、新コンセプトのデザインや最新世代のパワートレインにより、フルモデルチェンジにも劣らない進化となった。

エクステリアではフロント周りの変更点が大きい。『SL』の源流は、1952年に誕生したレーシングカー『300SL パナアメリカーナ』まで遡る。フロントグリルを垂直に近く立て、末広がりの形状となった新型『SL』のフェイスは、この『300SL パナアメリカーナ』にインスピレーションを得ている。メルセデス・ベンツのなかでも独特なデザインだが、60年を超える歴史を重ねてきたモデルならではの矜持を感じさせる。
インテリアでは、ルーフを開けた状態でも『SL』らしさが全面に感じられるように、厳選された高級素材を各所に使用。エモーショナルな雰囲気を演出するアンビエントライトも備えた。ちなみに、ルーフの開閉を開始できるのは停止時のみだが、開閉が始まれば走行速度約40km/hまで継続して行うことが可能。また、ルーフを開ける際にトランク内のカバーが自動で動くようになったので、いつでもワンアクションでバリオルーフを開閉できるようになった。

もちろん、レーシングカーを祖に持つだけあり、こだわりは高級感の演出だけに留まらない。ダッシュボード上部をドアのベルトラインと一体化して、円形エアアウトレットを4個配備することで、スポーツ性も強調した(写真は欧州仕様)。

軽量化によって想像を絶するハイパワーを発揮

『SL』がスポーティーさにこだわるのは当然のことだ。そもそも、『SL』はドイツ語の「Sport Leicht(シュポルト・ライヒト)」の頭文字で、英語では「スーパーライト」。いわゆる、軽量スポーツカーを意味している。今回の新型『SL』でも、上質で俊敏な走りを追求するため、フルアルミニウムボディシェルを採用。軽量で高強度なアルミニウム材を使用するとともに部位ごとに適した構造設計を行い、軽量化と高い剛性、最高レベルの安全性を両立させている。この軽量で高い剛性をもつボディに最新世代のパワートレインを組み合わせることで、ダイナミックな加速や正確で俊敏なハンドリング特性が実現した。では、そのパワートレインについて説明しよう。
心臓部は、ライナップによって異なる。『SL400』は、新開発の「3.0L・V型6気筒直噴ツインターボ」、『SL550』は「4.7L・V型8気筒直噴ツインターボ」、『AMG SL 63』は「5.5L・V型8気筒直噴ツインターボ」、『AMG SL65』は「6.0L・V型12気筒ツインターボ」が搭載された。最もパワフルな『AMG SL65』の「6.0L・V型12気筒ツインターボ」は、最高出力:463kW(630ps)、最大トルク:1000N・m(102.0kg・m)という想像を絶するハイパワーを発揮する。

このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、『SL』史上初の電子制御9速AT「「9G-TRONIC」(『SL400・550』に搭載)。ダイナミックなレスポンスによる爽快な走りが特徴だ。また、ひとつのギアが受け持つ速度域が狭くなるため、変速ショックとエンジン回転数の上昇が抑えられ、静粛性と燃費の両方を高いレベルで実現している。

足回りには、発進・加速・減速・旋回時などに発生する車体の動きと、乗員を含めた車両重量を感知して、四輪それぞれのコイルスプリングの作動を瞬時に電子制御する「ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)サスペンション」を採用。車体のロールを低減し、フラットな車体姿勢を保ってコーナーを駆けるダイナミックな操縦性と、マイルドで快適な乗り心地を味わえる。

さらに、『SL400・550』には、コーナリング時に車両がコーナー内側に傾く「ダイナミックカーブ機能」を新しく搭載。これは、ステレオマルチパーパスカメラがコーナーを検知し、コーナー内側の車高を下げ、外側を持ち上げることで、自動的に瞬時に車両を制御する仕組みだ。乗員はコーナリング時でも安定して座っていられるという。

まさに「ドリームカー」というべき新型『SL』

安全面においては、メルセデス・ベンツの安全性能の代名詞、「インテリジェントドライブ」を搭載。安全運転支援システム「レーダーセーフティーパッケージ」により、クルマの周囲360度をカバー。利便性を向上する装備として、自動操舵・ブレーキ機能によって縦列駐車と並列駐車をアシストする「アクティブパーキングアシスト」を標準装備している。

スポーティーに運転する悦びを感じながら、最高のラグジュアリーな雰囲気も満喫できる『SL』。メルセデス・ベンツは『SL』を「ドリームカー」と呼ぶが、まさに夢の車に相応しい1台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi