若き成功者を誘う漆黒のロールス・ロイス『レイス』
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若き成功者を誘う漆黒のロールス・ロイス『レイス』

ステレオタイプな表現だが「運転手つき」という枕言葉がもっともしっくりとくるブランドは、「ロールス・ロイス」ではないだろうか。しかし、それも徐々に時代遅れになってきているのかもしれない。ロールス・ロイス・モーター・カーズによると「最近では、自分で運転することを楽しむユーザーが増えている」そうだ。その牽引役となっているのが、2013年のジュネーブモーターショーで世界初公開されたロールス・ロイス『レイス』だ。「世界で最も優雅なクーペ」は「ロールス史上最もパワフルかつダイナミックなモデル」として注目を集めた。それから3年後、2016年3月のジュネーブモーターショーで発表された特別モデルが“黒”にこだわった『レイス ブラック・バッジ』だ。

ロールス・ロイスの象徴にみる“黒”のこだわり

『レイス ブラック・バッジ』のボディカラー「ブラック・バッジ・ブラック」は、ペイントとラッカーを何層も重ね塗りして、手作業でポリッシュすることで独特の色合いを実現している。漆黒といってよいほどの深みだ。また、ロールス・ロイスフェイスの特徴である、パルテノン神殿をモチーフにしたフロントグリルには「ブラッククローム」を採用し、フロントロアグリルのアクセント、マフラーエンドなどにもダーク系のクロームを使い色合いを統一した。
ロールス・ロイスの象徴である「スピリット・オブ・エクスタシー」と「ダブルRバッヂ」にも“黒”のこだわりがみられる。ラジエターグリル上部に鎮座する「スピリット・オブ・エクスタシー」は高光沢ブラックに変更され、まるで妖婦の雰囲気。これは、「オーナーの影の面を表現している」という。フロントエンド、サイドパネル、テールに輝く「ダブルRバッヂ」は、ブラックを背景にシルバーを描く、従来とは反転したデザインとなっている。
日本発表時のモデルでは、ドアを開けるとエクステリアの黒とは打って変わって、目が覚めるような「コバルト・ブルー」のシートとドアトリムが目に飛び込んでくる。黒と青のコントラストが秀逸だ。今回は「コバルト・ブルー」だったが、購入時には好みに合わせて4万4000色から選択が可能。もし好みの色がない場合は、作成もしてくれるという。

インテリアトリムにはウッドではなく、アルミニウム合金製糸織物とカーボンファイバーを組み合わせたダーク調のコンポジット材を採用。これは、ステルス戦闘機の機体表面に使用されるものと同等だというから驚きだ。

“魔法のじゅうたん”に俊敏さが加わった足回り

エンジンはベースモデルである『レイス』と同じ6.6L・V型12気筒DOHCターボ。最高出力も632psと『レイス』と同じだが、トルクは870Nmと70Nmアップしている。

足回りは『レイス』をより俊敏にしたセッティングへと変更。ロールス・ロイスの乗り味を形容する「魔法のじゅうたん」のような心地よさに加えて、走りの愉しさをより感じられるようになった。また、21インチのホイールは、4年の歳月を費やして開発したアルミニウム+カーボンファイバーホイールを採用した。もちろん、このホイールも“黒”で統一されている。

40代が増えているロールス・ロイスのオーナー

ロールス・ロイスの全世界におけるオーナーの平均年齢は、50歳代から40歳代へと下がっている。エントリーモデルの『ゴースト』、さらに『ゴースト』のクーペモデルである『レイス』、そして、コンバーチブルモデルの『ドーン』。新モデルが追加されるたび、若きロールス・ロイスオーナーが増えているという。

そういった背景もあり誕生したのが、よりエッジの立った『レイス・ブラック・バッジ』である。発表会ではオーナーのイメージを、「夜、1人で湾岸や首都高を走りに行きたい人」「サーキットに走りに行くときにリラックスできる“足グルマ”が欲しい人」と表現された。ロールス・ロイスの伝統だけに満足しない、都市をアグレッシブに駆け巡る若き成功者を誘う1台だ。

Text by Tsukasa Sasabayashi