日本映画を大きく変えた「角川映画」40周年記念映画祭
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日本映画を大きく変えた「角川映画」40周年記念映画祭

2016年に誕生40周年を迎える「角川映画」。それを記念し、7月30日より「角川映画祭」と銘打ち、第一作となった1976年の『犬神家の一族』から、1988年に公開された宮沢りえ主演『ぼくらの七日間戦争』まで、懐かしの名作48作品が一挙に上映される。

「読んでから見るか、見てから読むか」の名コピーで一大ブームに

1970年代中盤、映画業界は“斜陽産業”だった。各家庭に普及したテレビの勢いに押されていたのだ。そんな斜陽産業に、敢えて参入したのが「角川映画」である。1976年10月16日に公開された横溝正史原作、名探偵金田一耕助が活躍する『犬神家の一族』は、活字・映像・音楽というメディアミックス戦略を取り、仇敵であったテレビでコマーシャルを打つなど映画の制作費を超える宣伝費を投入するなど、従来では考えられないような一大プロジェクトを展開。さらには石坂浩二、高峰三枝子、あおい輝彦、島田陽子といった豪華なキャスティングも話題となり映画は大ヒット。本も売れまくり、ミステリーブームも巻き起こした。
『犬神家の一族』 (C)KADOKAWA1976
その後、角川映画は「読んでから見るか、見てから読むか」という刺激的なコピーとともに『人間の証明』を送り出し、さらに松田優作『野獣死すべし』『蘇える金狼』、高倉健『野性の証明』、千葉真一『戦国自衛隊』といった大作を続々と投入。そして沢田研二演じる天草四郎の唱える呪文「エロイムエッサイム」が流行した『魔界転生』、つかこうへい作品を映画化した『蒲田行進曲』『二代目はクリスチャン』、南佳孝による同名のテーマ曲もヒットした浅野温子の『スローなブギにしてくれ』、平井和正・石ノ森章太郎原作、大友克洋がキャラクターデザインを担当したアニメ『幻魔大戦』、当時日本のトップライダーであった平忠彦がスタントを担当したヤマハYZR500がサーキットを疾走する草刈正雄の『汚れた英雄』など、ありとあらゆるジャンルの映画を制作した。
『蘇える金狼』(C)KADOKAWA1979
『汚れた英雄』(C)KADOKAWA1982

東京、名古屋、大阪など全国で上映。映画界を大きく変える存在に

また角川映画は『セーラー服と機関銃』『探偵物語』『Wの悲劇』『里見八犬伝』で薬師丸ひろ子、『時をかける少女』『天国にいちばん近い島』『黒いドレスの女』で原田知世、『伊賀忍法帖』『晴れ、ときどき殺人』『いつか誰かが殺される』で渡辺典子という「角川三人娘」を世に送り出し、彼女たちの歌う主題歌とともにアイドル路線もヒットさせた。さらには配給システムなど旧態依然としていた映画界の体質も一変させ、日本映画界に革命を起こしていったのだ。
『セーラー服と機関銃』(C)KADOKAWA1981
また大野雄二『愛のバラード』、ジョー山中『人間の証明のテーマ』、松任谷由実『守ってあげたい』、ローズマリー・バトラー『光の天使 (CHILDREN OF THE LIGHT)』『汚れた英雄』、ジョン・オバニオン『里見八犬伝』、ジャニス・イアン『You Are Love (Toujours Gai, Mon Cher)』など、ヒット曲から映画を思い出すというのも角川映画の特徴だ。

タイトルを見るだけで様々な思い出までも蘇ってくる角川映画。今年の夏は懐かしの作品を劇場でもう一度楽しんでみてはどうだろう。もちろん見る前に原作を読んでも、読んでから映画を見るのもOKだ。

Text by Tamotsu Narita

Main Photo by 『時をかける少女』 (C)KADOKAWA1983