マセラティ100年の歴史で初のSUV『レヴァンテ』
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マセラティ100年の歴史で初のSUV『レヴァンテ』

イタリア北部の都市、ボローニャ。1914年、この地に生まれた兄弟がスポーツカーメーカーを創業した。兄弟の名は「マセラティ」。彼らの名を冠した「アルフィエリ・マセラティ工房」が、のちにイタリアの大統領公用車にも採用される高級車ブランド「マセラティ」である。100年を超える時を重ねるなか、数々の名車を生み出してきた由緒あるブランド。そこに、今また、新たな歴史の1ページが刻まれた。初のSUV『レヴァンテ』の誕生である。

スポーティかつエレガントなエクステリア

『カムシン』『シャマル』『ギブリ』。マセラティが伝統的に“風”にまつわる車名を用いることは有名だ。『レヴァンテ』とは「瞬時にして強風に変化することのある、地中海の暖かな風」を意味する。まさに、マセラティ初であるSUVの性格を上手く表したネーミングだ。

たしかに、エクステリアはどちらかといえば穏やかな部類だろう。スポーティではあるが、全体ではエレガントな印象を与える。これは、クーペである『ギブリ』をベースに、そのラインを生かしたことによる流麗さから来ている。
また、マセラティの100年を超える歴史のなかで初のSUVモデルということもあり、随所にこれまでのモデルへの敬意を見てとれる。たとえば、特徴的な凹型グリルは、1959年にデビューしたレースカー「ティーポ60バードケージ」を想起させるもの。フロントマスク自体は、コンセプトモデル「アルフィエーリ」にインスピレーションを得ている。

最高級の素材で自分好みに仕立てられる内装

室内は全長5m、ホイールベース3mの車格が生み出す、クラス最高レベルの広いスペースが特徴。ロング・ホイールベースとワイドなボディなので、後部座席でも大人3人が快適に座ることができる。

フロントシートは、プレミアム・レザーを採用。人間工学に基づき設計され、乗員を心地よく包み込み、身体をしっかりとサポートしてくれる。ドライバーズシートは12方向電動調節機構により、もっとも快適なポジションにセッティングすることが可能だ。

キャビンは、さすが「マセラティ」といったところ。吟味されたウッドパネル、プラチナエフェクトに輝くメタル加飾、手作業によるコントラストステッチ、クラシックなアナログ時計をはじめ、最高級の素材で彩られている。

また、好みに合わせて多彩な選択肢を準備しているのも嬉しいポイントだ。レースの伝統を反映し、スポーティな専用シート及びステアリング形状、カーボン素材の組み合わせによってスパルタンなイメージを楽しめる「スポーツ・パック」や、イタリアの上質なクラフツマンシップの伝統を取り入れ、幅広い素材と特別なコンテンツを取り揃えた「ラグジュアリー・パック」などを選ぶことができる。

フェラーリの工場で製造されるパワートレイン

優雅さを感じさせるエクステリアと贅を尽くした快適なインテリア。しかし、一度アクセルを踏み込めば「瞬時にして強風に変化」する。

搭載される2種類のガソリンエンジンは、マセラティとフェラーリのパワートレイン開発チームが協力して生み出した。フェラーリのマラネッロ工場でマセラティ専用に製造された3.0L・V型6気筒ツイン・ターボ・ガソリン・エンジンは、『レヴァンテ』では最高出力350 ps、上位モデルの『レヴァンテS』では430 psを叩き出す。特に『レヴァンテS』では、0-100 km/h加速は5.2秒、最高速度は264 km/hという、SUVとは思えない動力性能だ。また、ガソリンエンジンとは別にディーゼルエンジンのライナップも準備されている。

この心臓部に組み合わされるトランスミッションは、ZF製8速オートマチック。エンジンと併せて駆動力の配分、道路状況の両方を認識し、それに応じてギアチェンジモードを最適化する自動適応ソフトウェアによってサポートされている。

足回りはフロントがダブル・ウィッシュボーン方式で、リアはマルチリンク方式。どちらにも電子制御式のダンパーが採用されている。また、最先端の「アクティブ・エア・サスペンション」のダイナミック制御によって車高の切り替えが可能。設定されている5つの車高から、過酷なオフロード走行用の高い車高から高速道路走行用の低い車高まで、走行中の道路や地形に最適な高さを選択できる。

世界販売台数7万台へ、足がかりとなるSUV

マセラティを語る上で外せないのは、エキゾーストノートが奏でる「マセラティサウンド」だ。ノーマルモードの場合、エンジン音は控えめで車内の静粛性を優先。しかし、ひとたびスポーツモードに切り替えると、最高のエンジン性能とマセラティ独自の官能的な咆哮がドライビングプレジャーをさらに高めてくれる。

現在、マセラティのラインナップは、フラッグシップモデル『クアトロポルテ』、ミドルセダン『ギブリ』、2ドアクーペ『グラントゥーリズモ』、オープンモデル『グランカブリオ』、そして、初のSUV『レヴァンテ』となる。2018年に世界販売台数目標7万台を掲げるマセラティにとって、SUVモデルの誕生は、大きな武器となることだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi