アストンマーチン「ヴァンテージ」の軽量最強モデル
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アストンマーチン「ヴァンテージ」の軽量最強モデル

このモデルを目にするたびに、高揚感と好奇心が掻き立てられる。アストンマーチンのラインナップでもっともスポーツ志向に振られている「ヴァンテージ」シリーズ。なかでも、「V8ヴァンテージ」はモータースポーツ活動の直系モデルだ。そして2016年4月、わずか150台しか生産されないV8ヴァンテージの特別限定車が発表された。まさにロードゴーイングレーシングカーと呼ぶにふさわしい、最強の「ヴァンテージ」である。

レーシングカーから生まれたアストンマーチン ヴァンテージGT8

イギリスの高級スポーツカーブランドであるアストンマーチンの名は、一般的には「ボンドカー」として有名だろう。イギリス秘密情報部「MI6」のエージェント、ジェームズ・ボンドが活躍する映画『007』シリーズにおいて、もっともボンドの愛車として登場する回数が多いのが、「DB5」をはじめとするアストンマーチンのモデルだ。

しかし、じつはアストンマーチンはモータースポーツ活動を源流とし、当初はレースに勝つことを最大の目的とする自動車メーカーだった。量産車を手がけるようになったのは1950年に発売された「DB2」以降のこと。その遺伝子は現在、おもに「ヴァンテージ」シリーズに受け継がれている。アストンマーチンは「V8ヴァンテージGTE」でWEC(世界耐久選手権)に参戦中だが、ベースとなっているのは「V8ヴァンテージ」だ。

このレーシングカーから着想を得たのが、限定モデルの「ヴァンテージGT8」である。一見しただけでも、このクルマに流れるレーシングDNAが伝わってくるはずだ。

これまでのアストンマーチン ヴァンテージで最も軽量なモデル

特筆すべきはヴァンテージGT8の「軽さ」だろう。アンダースポイラーやウイング、前後バンパー、ルーフ、シート、ドアパネルなどはカーボンファイバー製。サイドやリアサイドの窓ガラスにはポリカーボネート樹脂が使用されている。さらに、チタン製エグゾーストなど、すべての軽量化オプションを組み合わせれば、最大100kgの軽量化が実現する。GT8は、ヴァンテージ史上、もっとも軽量なモデルでもあるのだ。

カラーリングも非常にレーシーで、オプションで設定できる“Halo”ペイント・スキームが、V8ヴァンテージGTEのロードゴーイング・バージョンというこのクルマのアイデンティティを際立たせている。写真はスターリング・グリーン&ライムだが、ほかにもチャイナ・グレイ&ブルー、ストレイタス・ホワイト&グリーンが用意され、この3種類から選ぶことが可能だ。

その佇まいには、鍛え上げられたアスリートのような、スパルタンな雰囲気が漂う。とはいえ、エレガントさ残しているところがいかにもイギリスのスポーツカーらしい。

お値段は約2590万円、秋には日本にも上陸!?

エンジンはV8ヴァンテージに搭載される4.7L・V8をベースに、よりパワーアップされている。最高出力は446psを発揮し、通常のV8ヴァンテージよりも10ps上乗せされた。

組み合わされるトランスミッションは、ATの「SportshiftⅡパドルシフト」のほか、6速MTも用意されている。このクラスの高級車でMTが選べるのはめずらしい。ヴァンテージGT8の魅力を余すことなく堪能したいという人は、迷わずMTを選択するべきだろう。

軽量化されたとはいえ、エアコンなどの空調システムと160Wオーディオシステムも装備され、快適性も確保されている。いくらレースマシンに近いハイパフォーマンスカーでも、運転する楽しみがなくては意味がない。GT8はグランドツーリング性も持ち合わせているのだ。
アストンマーチンのCEO、Dr.アンディ・パーマー氏は、ヴァンテージGT8について「ストリートからサーキットまで、世界のありとあらゆるシーンにフィットする真のドライバーズカーだ」と説明する。言葉は抽象的だが、なにより「乗って楽しそう」と思えるこのパッケージが答えではないだろうか。

価格は日本円で約2590万円。デリバリーは2016年秋からとなっており、限定150台のうち、3分の1がイギリス、残り3分の2が欧州とアジアになるという。世界屈指のスポーツカーブランドが送り出すロードゴーイングレーシングカー。一日千秋の思いで発売を待ちたい。

Text by Tetsuya Abe