リアルな歌姫、メーガン・トレイナーが人気の理由
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リアルな歌姫、メーガン・トレイナーが人気の理由

ふくよかなカーヴィボディに、正統派の美人系ルックス、ポップの極みのようなキャッチーな曲調で女性の本音を歌いあげ、大ブレイクを果たしたメーガン・トレイナー。2016年のグラミー賞で最優秀新人賞を受賞し、名実ともにトップアーティストへと昇り詰めた実力派だが、彼女について回るキャッチフレーズは「ぽちゃカワ」。ぽっちゃり系のプラスサイズのスタイルでありながら、ポジティブでナチュラルなメッセージを発信し、同世代の女性から圧倒的な支持を集めているのだ。このように、女性の「ありのまま」を肯定するスタンスは世界的なムーブメントとなっており、モデル、女優、スポーツ選手など、あらゆるジャンルで「ぽちゃカワ」女性が台頭している。

世界58カ国のiTunesチャートで1位を記録したメーガン・トレイナーのデビュー曲

現在22歳のメーガン・トレイナーは、各界の「ぽちゃカワ」女性のなかでも、突出した存在感と人気を誇るアーティストだ。幼い頃から音楽好きで、13歳で作曲を始め、高校在学中にはアメリカ各地のミュージックフェスティバルに出演。18歳にして音楽出版社とプロのソングライター契約を結び、数々のアーティストに詞や曲を提供するようになる。

2015年には、音楽プロデューサーのケビン・カディッシュとともに『オール・アバウト・ザット・ベース』を作詞・作曲。「私はベース(低音=重い)なの、トレブル(高音=軽い)じゃない」と繰り返し、「雑誌の写真はフォトショップで修正済み リアルじゃないことは誰でも知ってる」「自分の持っている美しさを出すの あなたはそのままでパーフェクトなんだから」というメッセージを含んだ楽曲が関係者から絶賛された。さらに、この曲を歌えるのは自身もぽっちゃり体型であるメーガンしかいないとレコード会社に大抜擢され、彼女はアーティストとしてもデビューもすることとなった。

ドゥーワップ調で口ずさみやすいメロディに、メーガンのキュートなボーカルがぴったりハマった『オール・アバウト・ザット・ベース』は、発表と同時に大きな話題となり、世界58カ国のiTunesシングル・チャートで1位を記録。全米ランキングでは8週連続でナンバーワンを獲得する。続いてシングルカットされた『リップス・アー・ムーヴィン』は、すぐにウソをつく男性に対する女心を歌い、『ディア・フューチャー・ハズバンド』は、未来の夫に「記念日にはお花を忘れないで」などと要望する内容で、多くの女性がメーガンの歌に共感した。日本のアーティストに例えれば、西野カナのような立ち位置といえるかもしれない。
(C)Capital Pictures/amanaimages

ビジュアル加工も拒否、情報過多の時代ならではの「リアル歌姫」メーガン・トレイナー

アーティストとしての人気が盤石になるに従い、メーガンの代名詞だった「ぽちゃカワ」という肩書きは徐々に意識されなくなってきた。

ミュージックビデオも、デビュー曲の『オール・アバウト・ザット・ベース』はぽっちゃり体型を強調した作りになっていたが、最近では普通にクールでお洒落なものが増え、映像面でもほかの女性アーティストとほとんど変わらない。最新アルバムからシングルカットされた『NO』ではキレのあるダンスを披露し、コンプレックスなどまったく感じさせないバリアフリーな存在感を示している。

下の写真は、2016年2月に米ロサンゼルスで授賞式が行われた「第58回グラミー賞」で最優秀新人賞に輝き、「私のことをアーティストにしてくれたみなさん、ありがとうございます」とステージ上で涙を流すメーガンだ。
(C)Sipa USA/amanaimages
最近の音楽業界は、コンピュータを駆使した画像加工技術でアーティストのビジュアルにさまざまな手を加え、楽曲製作ではゴーストライターを使うなど、いくらでもウソをつけるようになった。そんななかで、最初からナチュラルな外見と才能をさらけ出しているメーガンだからこそ、そのメッセージはファンにまっすぐ届く。なにかと情報量が多い時代ならではの「リアルな歌姫」として、メーガン・トレイナーの人気はますます高まっていくだろう。

Text by Kiyoshiro Somari

Photo by (C)PA Photos/amanaimages(main)