造形作家・木下隆志による超リアルなウルトラセブン
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造形作家・木下隆志による超リアルなウルトラセブン

今年はウルトラマンシリーズ放送開始50年にあたり、メディアを含め様々な動きが展開されている。オールドファンには幸せな気分に浸れる日々なわけだが、フィギュアの雄・海洋堂からも嬉しいニュースがある。デビュー作品となった超リアルな初代ウルトラマンが半ば伝説的に語られている造形師・木下隆志が挑む、ソフビ製組み立てモデル版のウルトラセブンだ。

キャラクターモデルではなく、スケールモデルを志向

初代ウルトラマンに続き、先日『サンデー毎日』の表紙モデルとして登場し話題となったウルトラセブン。ある世代にとっての『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』と同様、いやそれ以上のインパクトと象徴的な意味すら持つであろう、日本屈指のキャラクターのひとつだ。今回、海洋堂所属の造形作家・木下隆志氏が造形したのは、劇中に登場するスーツ姿をスケールモデルテイストで再現したウルトラセブン。かつて、写真で見る限りでは実物のスーツと見間違えるほどの驚異的な完成度で初代ウルトラマンを造形し「世界一のウルトラマン造形作家」などと称賛されることも多い木下氏だけあって、スーツの折り重なるシワの表現や、グローブ、ブーツのジッパー部分など、細かな素材感の違いまでをも精密に表現している。しかも、単純に再現するだけでは情報過多になり、うるさく感じられてしまうところは、絶妙のセンスで省略。この見せる/見せないの取捨選択こそ、木下氏の真骨頂でもある。
(C)円谷プロ
(C)円谷プロ
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考えてみれば、放映当時のブルマァク商品などに見られた極端なデフォルメは、特徴の抽出と再構成という点ではまさに子どもたちの描く絵にも通じるもの。その後、数度に渡るウルトラマンシリーズ再ブームなどで立体化される際にも、視聴者はこんな風に脳内変換して楽しんでいた、というキャラクターイメージを優先するものが多かった。実際に画面に映っていた、スーツアクターが中にいるウルトラセブンそのものを立体化した商品は、ごく少数しか存在していなかったのだ。今回の「さすが、わかってらっしゃる!」とファンを唸らせるモデル化は、待望のものだろう。

シンプルなパーツ構成ゆえに加工・改造も簡単

パーツ数は全8個のシンプルな構成。着色済みの簡易キットであり、ブリスターパックから出し、瞬間接着剤などで組み立てるだけで完成する。全高は約400mm。頭部フェイス面は透明度の高いクリア素材で成型されていて、特徴的な六角形の目や額のビームランプはクリア塗装で再現してある。もちろん、そのまま組み立てるだけでも楽しむことができるが、メガサイズモデルだけあって、加工・改造も施しやすい。「第●話のこのシーンのあの汚れ」といったこだわりの追加塗装も、目や額のビームランプを光らせるLEDを仕込むといったひと工夫にもつい挑戦したくなる。
(C)円谷プロ
木下氏の手がけた2009年の東京国立博物館『国宝 阿修羅展』での「阿修羅像」フィギュアは、開幕から約2週間で完売した。そのディテールへのこだわりとセンスをいかんなく発揮した、圧倒的なクオリティを誇るウルトラセブンの新たなマスターピース。ぜひ手元で確認してほしい。

Text by Nin Onodera

Photo by (C)円谷プロ