ボルボの生まれ故郷、スウェーデンの白夜を堪能する
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ボルボの生まれ故郷、スウェーデンの白夜を堪能する

北欧諸国の北極圏では毎年、初夏になると太陽が1日中沈まない現象が起きる。「白夜」と呼ばれる幻想的な光景で、とくに6月は午前12時を過ぎても空が暗くならず、スウェーデン北部などのゴルフ場では真夜中に何ラウンドでもプレイすることが可能という。しかし、クルマ好きなら、ゴルフではなく、やはりドライブで白夜を堪能したいところだ。スウェーデンで生まれた高級車のボルボで原生自然が光に包まれる壮大な景色のなかを駆け抜ければ、貴重なドライブ旅となるはずである。

出発の地は「北のヴェニス」ストックホルム

日の出と日の入りの1時間は、太陽の光がいつもに増して美しく輝き、「マジックアワー」と呼ばれる。白夜ではマジックアワーが1日に8時間から12時間も続き、原生林や湖が美しい光に照らされ、より幻想的な景色となるのだ。

白夜は、緯度が66.6度以上の地域、北半球では北欧諸国などの北極圏で起きる。スウェーデンなら北部のラップランド地方、なかでも北極圏の線上にある小さな町、ヨックモックは白夜を堪能するのに最適の場所だ。首都のストックホルムから約1200kmのロングドライブとなるが、ここなら豊かな大自然のなかで白夜を存分に味わうことができるはずである。

出発の地となるストックホルムは、多くの半島や島で構成され、水の上に浮かぶような景観から「北のヴェニス」とも呼ばれている。
旧市街ガムラ・スタンには中世の街並みがいまも残り、13世紀から続く小路や玉石敷きの通りがある。1989年に公開されたスタジオジブリの『魔女の宅急便』の舞台となったのは、この旧市街だった。

ガムラ・スタンの小路に佇む下の写真のクルマは、スウェーデンで生まれた高級車ブランドのボルボが2013年のフランクフルトモーターショーで発表した「クーペコンセプト」である。1960年代のクーペモデル「P1800」にインスパイアを受け、現在のフラッグシップSUV「XC90」へと続く新デザインを示唆したモデルだ。スウェーデンをドライブする以上、クルマはボルボを選ぶべきだろう。

白夜の日光に包まれる「原始の地球」の景色

ストックホルムからヨックモックまでは、より自然を感じることのできる内陸のルートがおすすめだ。首都を抜けて最初に立ち寄るのは、北に約50km走った場所にあるシグトゥーナ。ヴァイキング時代の980年頃に生まれたシグトゥーナは、現存するなかではスウェーデン最古となる町だ。周辺にはルーン文字の石碑や古代の遺跡などが多くあり、隣接するメーラレン湖にはヴァイキング時代の都市遺跡である世界遺産のビリカが浮かんでいる。

シグトゥーナから北西に約200km走れば、白樺の木が茂り、いくつもの湖が点在するダーラナ県がある。県庁所在地のファールンは、良質の銅を産出する大銅山地域として世界的に有名だが、見どころはむしろ、原初的な風景を色濃く残す森林や湖。このもっともスウェーデンらしい景色のなかをボルボで駆け抜けて、さらに北上していく。
ファールンから約370km、ストールション湖の脇にあるエステルスンドは、地理的に見るとスウェーデンのど真ん中に位置する。このエステルスンドでもうワンストップして少し休憩したのち、ここから北に約600km、旅のゴールとなるヨックモックまで一気に走り抜ける。
北極線上の小さな町ヨックモックには、北欧の先住民族の伝統的生活文化が残り、この町を含むラポニア地域は世界最大級といっていい手付かずの大自然が広がる。スウェーデンの世界遺産のひとつでもあるこの原生の自然は、北極圏の氷河によって作り出されたもの。背の高い樹木がなく、山と大河が織りなす景色は原始の地球を想起させる。この自然が白夜の美しい太陽に包み込まれるのだから、実際に目にすると言葉を失うに違いない。
(C)Vberger
こんな幻想的な光景を見ることができるなら、ストックホルムから約1200kmもクルマを走らせてきた苦労など吹き飛ぶはずである。北欧の白夜のもとで、北の果てに広がる壮大な自然を堪能するドライブ旅は、この季節しか味わうことのできない贅沢な時間といえるだろう。

Text by Taisuke Seki(euphoria FACTORY)