北欧デザインの巨匠ヤコブセンの腕時計
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北欧デザインの巨匠ヤコブセンの腕時計

一枚の板をプレスすることで背座一体となった3次曲面を世界で初めて実現した「アントチェア」を生み出したことで知られる、デンマークの建築家兼デザイナーであるアルネ・ヤコブセン。その物作りについて「美しいものを作るのではなく、必要とされているものを作る」と語る彼のデザインによる時計を再現した、シンプルで優美な4つの腕時計「アルネ・ヤコブセンウォッチ」が注目を集めている。

ヤコブセンが設計した時計を忠実かつ正確に再現

ヤコブセンは1902年、デンマーク・コペンハーゲンに生まれた。1930年に建築設計事務所を設立し、建築、家具、食器、照明、時計、テキスタイル、さらにランドスケープまでもデザインした、20世紀を代表するモダン様式のデザイナーだ。
「アルネ・ヤコブセンウォッチ」は、ヤコブセンが設計した時計を忠実かつ正確に再現、腕時計サイズに縮小したものだ。ヤコブセンの時計は中心から外へとゆるやかに弧を描く、すり鉢状になったケースと一体となった文字盤が最大の特徴であり、腕時計もこのスタイルを踏襲、そのフォルムが見事に再現されている。そして各時代に作られた4つの印象的なデザインと、大小2つのサイズがラインナップされている。

ヤコブセンの名を冠する「身に纏うことのできる」唯一の製品

では「アルネ・ヤコブセンウォッチ」4つのデザインをご紹介しよう。

■ROMAN
オリジナルは1939年、デンマークの大手電機メーカーであるラウリッツ・クヌーセンからのオーダーでデザインしたテーブルクロック。その後、1942年にオーフス市庁舎を設計した際、ウォールクロックとしてリデザインされた。「ROMAN」の名の通り、I~XIIのローマ数字が並ぶ謹直でクラシカルなイメージだ。
■STATION
こちらもラウリッツ・クヌーセンの依頼によって1943年にテーブルクロックとして誕生。シンプルな視認性を最優先した構造は、バウハウスの影響を受けたヤコブセンらしいデザインだ。ラウリッツ・クヌーセン社がこのデザインを高く評価、駅や公共スペースの時計として採用されることとなった。
■CITY HALL
1956年に竣工したルードブレ市庁舎を設計した際、ウォールクロックとして作られたのが「CITY HALL」だ。市庁舎は自然の中へ溶けこむようデザインされており、この時計は庁舎の外壁に埋め込まれていて、自然と調和するように設置されている。ミッドセンチュリーらしい、シンプルでモダンな印象だ。
■BANKERS
1971年、晩年の最高傑作と言われるデンマーク国立銀行のウォールクロック。ヤコブセン初の国家レベルでの仕事であったが、その完成を見ることなく同年死去、遺作となった。インデックスは12個のブロックで構成、数字が増えるごとに黒いブロックがスパイラルを描くという優美なデザインとなっている。
静かに美しく時を刻むアルネ・ヤコブセンウォッチは、“アルネ・ヤコブセン”の名を冠するもので唯一「身に纏うことのできる」製品という。無駄を排した、シンプルで飽きのこない北欧デザインの巨匠による上質な腕時計は、実用性を最優先したからこその機能美に溢れる仕上がりとなっている。

Text by Tamotsu Narita