マセラティが提案する新境地『ギブリ・ディーゼル』
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マセラティが提案する新境地『ギブリ・ディーゼル』

「Ghibli」とは、サハラ砂漠から吹き付ける熱く乾いた風のことだ。数々の名作アニメを生み出す「スタジオジブリ」の名は、これに由来するといわれている。しかし、大人のカーガイにとって、「Ghibli」の発音は「ギブリ」。そう、『マセラティ・ギブリ』を想起させるものだ。現行の『マセラティ・ギブリ』は3代目。初代は1966〜1973年、2代目は1992〜1997年に製造され、そして、現行型は2013年にデビューした。間が空きながらも、歴史を重ねてきた名車である。『マセラティ・ギブリ・ディーゼル』は、その長い歴史のなかで初のディーゼルエンジン搭載モデルだ。

エコでありながらスポーティーなエンジン

『ギブリ・ディーゼル』は2013年に発表され、2014年には北米や欧州など世界各国で販売されていた。日本でも徐々にディーゼルエンジンの認知が高まるなか、ついに導入されたといっていいだろう。

当然ながら、最大の特徴は新開発の3.0L・V6ディーゼルエンジンだ。マセラティとイタリアのエンジンメーカーであるVMモトーリがタッグを組み、フェラーリF1エンジンのデザイナーを務めたパワートレーンディレクター監督のもとで専用に開発された。日本では「ディーゼルは環境に悪い」といった認識を持たれていた時代もあったが、それも昔の話。ご存じの通り、クリーンディーゼルは「第4のエコカー」などとも呼ばれている。『ギブリ・ディーゼル』も、CO2排出量を158g/kmに抑え、燃費は17.0 km/Lを実現した。
もちろん、ミドルイズのスポーツラグジュアリーセダンとして、走りの醍醐味は犠牲にしていない。最高出力は275psとクラス最高峰。トルクもターボチャージャーによって2000-2600rpmの回転域で最大トルク600Nmを発生。0-100km/hを6.3秒で駆け抜け、最高速度も250 km/hに達する。

このエンジンに組み合わされるのが、すべての『ギブリ』モデルと同じ、「8速ZFオートマチック トランスミッション」だ。オートアダプティブ ソフトウェアを使用することで、走行スタイルと路面状況に応じてギアチェンジモードを適合させる最新世代の技術を採用している。また、ギアレバーの横にあるボタンで選択できる作動モードは、「オート・ノーマル」「オート・スポーツ」「マニュアル・ノーマル」「マニュアル・スポーツ」「I.C.E(Increased Control & Efficiency、制御性&効率性向上)」の5モードから選択することができる。

名器ヴァイオリンに通じるマセラティサウンド

マセラティのエンジンを語る際、必ず触れなくてはならないのが、いわゆる「マセラティサウンド」だ。マセラティのエンジンサウンドの魅力の秘密を解明するために行われた実験では、エンジン加速音と、ヴァイオリンの名器として知られる「ストラディヴァリウス」の演奏音とに、「主観」「客観」「物理評価」において共通点があることが明らかになったという。

ただし、ディーゼルエンジンには、独特のエンジン音がある。これで「マセラティサウンド」を再現することは可能なのか。その問いに答えてくれるのが「マセラティ・アクティブ・サウンド・テクノロジー」だ。防音効果を高めてディーゼル特有の燃焼音を大幅に低減したうえで、サウンドアクチュエーターがエンジンの最も特徴的な音色を強調し、ドライビングスタイルに応じて音色を変化させてくれる。

“ラグジュアリーディーゼル”の基準となる1台

インテリア、エクステリアは、ほかの『ギブリ』モデルに通じる。フロントでは、現行の『グラントゥーリズモ』や、クラシック・マセラティである『A6 GCS ベルリネッタ』からインスピレーションを受けた、縦のフィレットを配した象徴的なオーバル型のグリルが存在感を主張。グリル上辺のラインは、鋭く切れ上がりながらアグレッシブなヘッドライトへと続く。

サイドはフロントから流れる2本の曲線がテールエンドで交わり、そのたくましい印象を際立たせている。また、三角形のCピラーとサッシュレスのドアウインドウが、しなやかで流れるようなスポーツクーペの佇まいを演出している。
室内空間は、同一クラスのなかで最も長い全長とホイールベースにより、広々としたラグジュアリーな佇まいを醸し出す。シートに張られた最高級のソフトレザーはダッシュボードやドアにも使用可能。2つのカラーを組み合わせることで、インテリアのルックスをスポーティーにも、よりエレガントにもカスタマイズできる。
『マセラティ・ギブリ・ディーゼル』は、「環境への意識が高く、しかもよりスポーツフィールを求める顧客層をターゲットに、マセラティの新境地を提案できる一台」だという。ディーゼルの概念を超えた排気音とスポーツ性能は、これからのディーゼルエンジンを搭載するラグジュアリーモデルのベンチマークのひとつになるかもしれない。

Text by Tsukasa Sasabayashi