唯一無二の豪華ツアラー、ホンダ・ゴールドウイング
- 大人ライダー向けのバイク -

唯一無二の豪華ツアラー、ホンダ・ゴールドウイング

日本のバイクシーンにツーリング文化が根付いて久しいが、同時にバイクそのもののメインストリームも、かつてのネイキッドやスーパースポーツ系ではなく長距離の快適性を高めた”ツアラー”にシフトした。なかでも、現在のバイクの中で唯一の1800cc水平対向6気筒エンジンを搭載したホンダ「ゴールドウイング」は、まさにスペシャルな1台というべき豪華ツアラーとして知られる。

バックギア、エアバック…クルマ並の豪華装備

ツアラーとは、長距離をいかに快適に移動できるかをテーマに改良が重ねられてきたバイクのことだ。ヨーロッパやアメリカ大陸などを横断できるように、ツアラーには余裕のある大排気量エンジンをはじめ、荷物の積載性の高さなどが求められる。上体が起き上がった楽なライディングポジション、カウリングなどによる防風性能、乗車時の身体への負担が軽減されていることも特徴だ。そのためか、ツアラーにはまったく独自の進化を遂げるモデルが存在する。

そうしたモデルのひとつであり、国内外のメーカーが発売するさまざまなツアラーの頂点に立つのが「ゴールドウイング」である。当初はアメリカ大陸を横断するための北米向けモデルとして発売されたが、その類まれな走行性能や快適性が評判を呼び、人気に火がついた。

1975年に登場した初代「GL1000」から始まり、アメリカのカスタム文化の影響も受けて、モデルが進化するごとに快適さや安全性、ラグジュアリー性がアップ。バイクであるにもかかわらず、バックギアやナビ、エアバッグを装備するなど、パッケージはどんどんクルマに近づいていった。リヤの3箇所のトランク容量は合計142リットル(現行型)にも及び、1人分の旅の装備ならほぼ間違いなく詰め込むことができる。もしかすると、小型のオープンスポーツカーよりもゴールドウイングのほうが積載性は高いかもしれない。
(C)PROandy carter

バイクに興味のなかった女性も納得の快適性

「こんなに快適で楽しいバイクは他にない」。ゴールドウイングに乗ったことのあるライダーたちは、誰もが口を揃えてそう話す。水平対向エンジンは、現在のバイク用エンジンのなかで一番シルキーな回転特性といえる。そのなめらかな加速感や巡航時の振動の少なさは病みつきになってしまうほどだ。5速MTとの相性も抜群で、ワインディングから峠にいたるまで、すべてのシチュエーションを難なくカバーするオールラウンド性も持ち合わせる。

大型フロントスクリーンやカウリングなどによる高い防風性能、上質な座り心地のシート、クルーズコントロールなどにより、高速道路の走行は快適そのもの。オーディオシステムにはラジオはもちろん、携帯音楽プレイヤーもつなぐことができるため、お気に入りの音楽を高音質で楽しむことができる。そして、計器のようなメーターパネル越しに見える、右へ左へと傾く景色は、まるで飛行機のコクピットの感覚。退屈な高速道路の巡航が、ゴールドウイングの場合これ以上ない上質な時間へと変貌する(エンジンの写真はゴールドウイングF6B)。
その快適さは後席にも同じことがいえる。シートヒーターや背もたれなども相まって、後席の座り心地はバイクにおけるファーストクラス。高速道路を走行するゴールドウイングユーザーに2人乗りが多いのは、そのためである。バイクに興味のなかった女性も、ゴールドウイングの後席に乗れば、そのすごさに納得してしまうのである。
大柄な車体だけに高速道路がメインと思われがちだが、じつはそうではないのがこのバイクの真骨頂だ。長年熟成されてきたトルクフルなエンジンや、改良が重ねられてきたフレームにより、ワインディング走行もお手の物。ハンドリング特性は極めて素直で、車体の大きさなどをまったく考えることなく、“普通のバイク”としてワインディングロードを楽しく駆け抜けることができるのだ。

オーナーの数だけ「楽しみ方」が存在する

ゴールドウイングはカスタムも楽しい。国内にも専門のカスタムショップがあるほどで、クロームメッキパーツをちりばめてゴージャスさを強調したり、LEDライトなどを車体にめぐらせたりなど、さながら“デコトラ”のようなライトカスタムも楽しむことができる。

サイドカーやトライクに改造してくれるショップも存在し、また、海外ではトレーラーを連結して長距離旅行を楽しむ姿も見かける。ゴールドウイングには、オーナーの数だけ「楽しみ方」が存在しているといえるだろう。

しかも、近年はホンダからも「メーカーカスタム」と呼べるようなバリエーションモデルが追加された。アメリカのカスタムのひとつである「バガースタイル」に触発され、リヤのトランクを廃し、フロントカウルもショート化してロー&ロングスタイルを強調した「ゴールドウイング F6B」(メイン写真と下の写真)、さらにケース類やカウルを潔く取り払い、マッスル感を強調した「ゴールドウイング F6C」などが登場し、ゴールドウイング・シリーズとして新たな展開を見せている。
(C)Brian Snelson
しかも、近年はホンダからも「メーカーカスタム」と呼べるようなバリエーションモデルが追加された。アメリカのカスタムのひとつである「バガースタイル」に触発され、リヤのトランクを廃し、フロントカウルもショート化してロー&ロングスタイルを強調した「ゴールドウイング F6B」、さらにケース類やカウルを潔く取り払い、マッスル感を強調した「ゴールドウイング F6C」などが登場し、ゴールドウイング・シリーズとして新たな展開を見せている。

ゴールドウイングは2014年に生産40周年を迎えたが、数多のバイクがニューモデルを発表してはいつの間にか消えていくなかで、200万円を超えるパッケージでこれほど息の長いモデルはそうはない。ファンの支持と技術者の絶え間ない改良が、その歴史と相まって孤高の存在感とプレミアム感を生んでいるのだ。まさに和製バイクの”旗艦”。実物を前にすると、自然にそんな言葉が出てくる。ゴールドウイングは、走りと快適性、ステータス、そしてヘリテージを併せ持つ唯一無二のバイクなのだ。
(C)CWhatPhotos

Text by Tetsuya Abe

Photo by (C)Mbdortmund(main)

※写真は海外仕様車を撮影したもので、現行型国内仕様とカラーなどが異なる。