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競争戦略のフレームワーク、マイケル・ポーターのファイブフォース分析を活用する

ビジネスは競争である。これに異論を唱える人はいないだろう。完全独占で自社の都合しか存在しない業界というのはほぼ存在しないからだ。では競争とは何で、勝つための戦略としてどんなパターンがあり得るのか説明できるだろうか。今回は競争戦略の始祖マイケル・ポーターが考案したファイブフォース分析を取り上げる

競争戦略の始祖マイケル・ポーター

読者の皆様には企業や部署の経営戦略を構築する仕事につかれている方も多いだろう。自社だけで独占しているという幸せな業界はよほどニッチな場合を除いてはあり得ず、経営戦略は競争戦略でもあるという場合が多い。今回は競争戦略の大家であるマイケル・ポーター(Michael Eugene Porter/以下、ポーター)とファイブフォース分析について解説する。

業界を俯瞰するためのフレームワーク「ファイブフォース分析」

ポーターの著書「競争の戦略」を聞いたことがある人は多いだろう。1980年の本だが今でもMBA等では教科書の一つであるし、現在68歳で存命中だが、既に古典といって良いほどの趣をみせている。このポーターの開発した分析手法は数多いが、今回は皆様の業務に応用し易いだろう「ファイブフォース分析」を紹介したい。

ファイブフォース分析は業界全体を整理して俯瞰するためのフレームワークで、競争とは業界内の企業の利益の奪い合いであり、「顧客の交渉力」「サプライヤーの交渉力」「将来の新規参入の脅威」「代替品の脅威」「同業者との競争」の5つの要因(ファイブフォース)で説明できるとしている。このポーターのフレームワークの優れた点は、企業間の戦いとして業界を捉えるのではなく、顧客やサプライヤーも含めた広汎な業界のステークスホルダーを包摂したものとして業界を捉え、実際のビジネス環境に則しながら複雑すぎず活用しやすいフレームワークになっているところだ。

ファイブフォース分析でPC業界を分析してみると

ではどうやって使うのか。まず5つの要因を全て動いている変数として用いて考えるのは、過剰なシミュレーション的過ぎて実際のビジネスのスピード感には向かない。ただ現実は業界を特徴付ける強烈な要因(業界内の企業全てが逃れられない前提)がいくつかあるのでそこに着目することでぐっと見通しが良くなる。
具体的には、逃れられない変数に注力して考えるか、それ以外の変数に注力して考えるという二択になる事が多い。
例えばPC業界なら、インテルという圧倒的交渉力を持つサプライヤーが存在するという逃れられない要因があることを前提に考えなければならない。逃れられない変数に注目するなら、大量調達で無理矢理インテルに交渉力を持つか、2番手のAMDとの付き合いを考えることでインテルとの関係性を動かすか、といった戦略を考えることになる。
逃れられない変数に注目するなら、例えば同業者との競争に焦点をあてて、勝つための製品開発戦略・M&A戦略が可能かどうかを考える、スマートフォンという代替品の脅威に焦点をあてて、スマホを持っていても使いたくなるPCの開発戦略を考えるといった事になるだろう。

ポーターのファイブフォース分析で自らの視点を高くする

ファイブフォース分析を頭に入れておく利点は、業界を構成するのは競合企業だけでないとう忘れがちなことを漏らさず考慮できる事だ。出来るビジネスマンであればあるほど、放っておくと同業者との競争だけに注目して成果を出してしまい、相互に消耗するだけの内向きな業界を築き上げてしまいがちだからだ。
本記事の読者の皆様は将来的に一企業を担うだけでなく、業界全体の健全な発展を担うようなエグゼクティブなるだろうと思う。その際業界を俯瞰して適切な判断を下せるようになるためにも、ファイブフォース分析を意識しておくべきである。