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子会社社長の経験から「経営者の役割」を考察したチェスター・アーヴィング・バーナード

組織とは何か、経営とは何か、経営者の役割は何なのか。忙しい日々の中考える機会はなかなかないでしょう。しかし実際にその立場についてから学び始めたのでは間違えなく遅い。そこで今回はビジネス界の古典「経営者の役割」を著したバーナードの論考を紹介する。

サラリーマンとして現場で考え続けたバーナード

チェスター・アーヴィング・バーナード(Chester Irving Barnar/以下、バーナード)はハーバード大学を中退した後、米国の独占的電話会社のAT&Tに就職、その後1927年から20年間子会社のニュージャージー・ベル電話会社の社長を勤めた。どうだろう?本コラムの読者の皆様にとっては身近に感じられる経歴ではないだろうか。
バーナードは代表的著書『経営者の役割(The Functions of the Executive)』で世に衝撃を与えたが、この著書も社長在職中にハーバード大学で行った公開講座での講演を元にしており、純粋な研究者というより実践者であり、やはり現場を動かしている皆様に近い。

組織の成立要因を丁寧に考えたバーナード

バーナードは現在の組織にとってあたりまえになっている多数の概念を発表しており、手短にまとめるのは困難で論考をつまらなくしてしまうので圧縮して提示することは控える。そこでバーナードの論考の中で読者の皆様に関係するだろう「誘因」と「貢献」について紹介したい。

バーナードの議論は、組織に所属する個人は「組織目的への共感」と「個人目的の達成」の2つの動機に動かされており、この2つの組織への「誘因」要素と、個人の組織への「貢献」がバランスしなければならないことを明らかにした。

誘因を現代風に言い換えると、組織内個人(部下・従業員)に対しての報酬となり、金銭、個人目的の達成(キャリア等)、組織目的への貢献の喜び(公害企業よりエコな企業の方が良い等)となる。そして貢献は報酬の対価としての、組織内個人が組織に対する貢献(成果・労働)となる。

経営者の役割を自らに引きつけて考えよう

そして誘因と貢献が常にバランスするよう努力することが組織の存続にとって大事であり、それこそが経営者の役割であるとバーナードは説いた。
これは非常に重要なポイントで、経営者の役割として直接監督せねばならないほど、誘因と貢献のバランスは崩れやすいという意味を含んでいる。

読者の皆様には組織で中間管理職をされている方も多いだろう。バーナードの論考は経営者だけでなく皆様の立場においても有効である。誘因と貢献というエッセンスを切り口として自らの組織を捉え直してみると、様々な問題を整理して考えることが出来るのではないだろうか。