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「イノベーション」の重要さを発見したヨーゼフ・アロイス・シュンペーター

「いま日本には『イノベーション』が必要だ」当たり前だがどうすれば良いかはあまり語られていない。そもそもイノベーションとは何か、定義を忘れてむやみな議論に時間を費やしてはいないか。正しく悩むためにイノベーション研究の始祖シュンペーターの議論に立ち返って考えてみる事が重要である。

イノベーションについて落ち着いて捉え直そう

「イノベーションが大事だ」、「イノベーションを起こせ!」と日々イノベーティブな製品・サービス開発に頭を悩ませいる読者は多いだろう。しかしこの「イノベーション」とは何なのか…どうすれば達成できるのか…強大なイメージに無闇に押しつぶされそうになってはいないだろうか。今回はイノベーションの重要さ・意義を発見したヨーゼフ・アロイス・シュンペーター(Joseph Alois Schumpeter/以下シュンペーター)について紹介する。シュンペーターの論考を振り返り、イノベーションを冷静に捉え直そう。

イノベーションは驚異的な革命ではない

シュンペーター1950年まで生きたオーストリア・ハンガリー帝国(現チェコ)経済学者で、本シリーズで扱う多くのビジネス偉人よりも古い時代の人物である。イノベーションを軸に据えた経済活動・循環の理論を打ち立てたことで後生の経営学に多くの影響を残した。イノベーションの始祖と言っても過言ではない。

さて、イノベーションと聞いて皆様何を創造するだろうか、 iPhone?新幹線?蓄音機?
何かすごい技術革新を念頭に置く人が多いのではないだろうか。シュンペーターはイノベーションとは新結合の推進であり、新結合とは下記を行うこととした。
・新しい製品・サービスの創出
・新しい生産方法の導入
・新しい販売先・流通の開拓
・新しい原料・部品の調達先の獲得
・新しい組織の開発

どうだろうか?販売先の開拓もイノベーションなのか。と思った方が多いのではないだろうか。実は各種調査でも確認されているのだが、日本人はイノベーションを非常に厳しく捉えすぎる傾向があり、日本人の当たり前の改善は世界から見たらイノベーションであったりする。

イノベーションがなぜ重要か

では、なぜ日本人から見て意外と緩いこのイノベーションが経済活動の軸であるとシュンペーターは位置づけたのか。それはイノベーションが社会に「非連続的な変化」を生み出すからである。
シュンペーターはこの変化の代表的な例として、英国の19世紀の郵便馬車の例を挙げた。

これは少し説明がいる。馬車⇒鉄道というのは凄く大変な技術革新に見える。しかしながら鉄道を速い馬車として使うのに留めることも出来た(現に過渡期に馬車鉄道は存在した)。現実は鉄道に蒸気機関という新しい部品が組み合わさり、速度を活かして遠隔地の市場を開拓し、ダイヤを管理できる新しい組織を開発するなど、次々と新結合が連続したことがイノベーションとなり馬車の時代を終わらせ、非連続的な変化を社会にもたらしたのである。

イノベーションがなぜ重要か

シュンペーターの論考に立ち戻り、イノベーションを身近に引き寄せて考えよう

シュンペーターの論考は多岐にわたり複雑であるが、読者の皆様を最も勇気づけるだろう事が、イノベーションとは技術の革新だけではなく、基本的に既存の要素の組み合わせであるとしている事だ。つまり自分が天才発明家である必要は無いし、自社に凄い技術を保有している必要も無い。例えば髪の毛の1000円カットで理美容業界を変えた「QBハウス」、既存の理髪店では為し得ないような理美容技術を開発したわけではない。ただお客様の事を考えて既存のサービスを削減・整理することで理美容業界にイノベーションを巻き起こしたのだ。

読者の皆様は日々イノベーションを起こすことへの重圧に立ち向かっているだろうが、始祖シュンペーターの論考に立ち戻り、イノベーション(の元となる新結合)は意外と広く身近なものであったりその組み合わせであって、それは供給者である皆様が市場に提案することでしか起こせない事を知って頂いて奮起して頂ければ幸いである。