超人気焼肉店のハンバーガーを片手に代官山を歩く
- 舌の肥えた肉好きへ 間違いのない名店 -

超人気焼肉店のハンバーガーを片手に代官山を歩く

三ノ輪という、けして便利ではない町で焼肉店「炭火焼七厘」を大人気店に育て上げた中原健太郎氏は、同店を市ヶ谷に移転し、「炭火焼肉なかはら」としてリニューアルオープンした。「炭火焼肉なかはら」は予約のとれない高級焼肉店として連日満席なので、その味にありつくのは簡単ではない。中原氏はつねづね「和牛のおいしさを1人でも多くの人にリーズナブルに紹介したい」という想いを抱いていた。その結晶が、代官山に存在するHENRY’S BURGER(ヘンリーズ バーガー) だ。

黒毛和牛100%のパティを独自の技術で焼き上げる

代官山駅から徒歩2分。旧山手通りと駒沢通りが切り替わる、代官山交番前交差点のほど近くに、赤い看板が目を引くHENRY’S BURGER は2015年12月にオープンした。アメリカンダイナーをイメージした店内はテイクアウトメインのため、客席はわずか4席だ。これは、グルメバーガーブームの東京において、ハンバーガーという食文化の原点である、アメリカのファストフードに立ち返ることで、さっと手軽にハンバーガーを食べてもらいたいという中原氏の意向による。中原氏は、アメリカ・カリフォルニア州で過ごした少年時代、ヘンリーと呼ばれていた。子供の頃に大好きだったハンバーガーを、和牛を使って作ることは、彼の長年の夢だったという。
フードメニューは、ハンバーガー(シングル650円/ダブル900円)、ポテト(250円)のみという潔さ。オーダーが入るとガラス張りのキッチンでパティを焼き始め、約5分で提供される(混雑時は最大15分ほどかかることも)。使用する肉は、中原氏が厳選し、一頭買いしたA5ランク黒毛和牛処女牛のみ。焼き肉には適さないが旨味の強いスネ肉を中心に、超粗挽きのひき肉に仕上げ、ツナギを一切使わずに塩コショウのみの味付けでふんわりと丸めたパティに仕上げる。そのまま焼いたのではバラバラになってしまうパティを、高温の鉄板上でゆっくりと押しつぶすように広げ、余分な脂を落としながら肉を結着させていく技術により、旨味と香りが封じ込められていく。
高田馬場にある「馬場FLAT」と共同開発したオリジナルレシピのバンズで、ミディアムからミディアムウェルに焼き上げたパティ、グリーンリーフ、トマト、チェダーチーズ、マヨネーズとケチャップをメインにしたオリジナルソースを挟んだバーガーはバンズも肉も柔らかく、歯を立てる必要なし。一口頬張ると、すべての食材がするりと口の中に滑り込み、一体となって優しくほどけていく。それでいてきちんと残る肉の風味。男性は当然のこと、女性でもダブルをペロリといける食べやすいタイプのハンバーガーだ。

肉食系40男待望のハンバーガー店が代官山に誕生

ポテトは、カリッサクッとした食感が、ジューシーで柔らかいハンバーガーにとって抜群のアクセントとなる、シューストリングタイプ。塩だけでシンプルに味付けされた飽きのこない味といい、時間がたってもシナシナっとしない揚げ具合といい、忘れられない名脇役だ。ドリンクは、アメリカ定番のペプシやアイスティー、コーヒー(各250円)のほか、生ビール(500円)やワインのミニボトル(赤白各450円)など、充実のラインナップ。FIJIのミネラルウォーター(330ml/200円)とサンペルグリーノの炭酸水(500ml/200円)が廉価に提供されていることも、こだわりのあらわれだろう。休日は、子連れの男性がハンバーガーを食べながら赤ワインを飲んでいる光景も見受けられるなど、老若男女がおいしさをシェアできる気軽なハンバーガー店だ。
とはいえ小さな店内に長居は無用。1人でさくっと食べて退店するか、デートなら天気のいい日はテイクアウトして、西郷山公園や蔦屋書店のベンチで食べるのもいい。しかし一番のおすすめは、店を出た瞬間にできたてのアツアツバーガーを頬張りながらの代官山ウォーキングだ。何時間も並んでハンバーガーにありついたとしても、男性なら1〜2分で食べ終わってしまう。そもそも何時間も並ぶほど40代のビジネスマンは暇ではないし、並んだ時間を取り返そうと長居するのも野暮というもの。本当に納得のいく味のハンバーガーを、ノーストレスでさくっと食べられるHENRY’S BURGERは、肉食系40男待望の店なのである。
イートインスペースが充実した新店舗や、新たなバーガーの開発なども視野にいれているとのこと。今後の展開が楽しみだ。

Text by Kazumi Kera