最もコンパクトなMシリーズ、『BMW M2クーペ』登場
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最もコンパクトなMシリーズ、『BMW M2クーペ』登場

3色のストライプが印象的な「M」のエンブレム。走行性能が高いスポーツモデルのみに許されたアイコンは、『BMW Mシリーズ』の証である。開発を手掛けるのは「BMW M社」。その源流は「BMWモータースポーツ」に遡る。レーシングマシンのDNAを受け継ぐ『Mシリーズ』は、ブランドコンセプトである「駆け抜ける喜び」を、より高い次元に引き上げてくれるスペシャルな位置づけなのだ。そんなMシリーズのなかで、最もコンパクトなモデルが『BMW 2シリーズ』をベースにした『M2クーペ』である。

官能的な吹き上がりの新開発ターボエンジン

『BMW M2クーペ』は、ベースとなる『2シリーズ』を除けば、Cセグメントとして唯一の後輪駆動だ。もちろん、BMWが伝統とする約50:50の前後重量配分を実現。そして、絹のように滑らかに吹き上がることから「シルキーシックス」と形容されるBMW独自の直列6気筒エンジンも搭載している。まさに、BMWのスポーツドライビングを実現するすべての要素が詰まっている1台だ。

エンジンについてもう少し詳しく触れておこう。「3.0L直列6気筒DOHC Mツインパワー・ターボ・エンジン」は新開発。ターボでありながら自然吸気のような滑らかで官能的な吹き上がりが特徴だ。最高出力は272kW(370ps)/6500rpm、最大トルクは465Nm(47.4kgm)/1400〜5560rpmまでの広い回転域で一定して発生され、アクセルを踏み込んだ直後から高回転に至るまで、力強い加速と鋭いレスポンスを発揮する。
レーシングマシンのDNAを受け継ぐ『Mシリーズ』だけに、エンジンはサーキット走行が前提だ。冷却システムとオイル・システムを追加で採用し、激しい加減速を行うサーキット走行においても最高のパフォーマンスを発揮。また、エンジン冷却ラジエターとトランスミッション・オイル・クーラーを追加採用し、過酷な走行条件下でも温度バランスを最適に管理してくれる。

この動力性能をさらに引き立たせるのが、「7速M DCT Drivelogic(エム・ディーシーティー・ドライブロジック)」だ。シフト・チェンジの最中においても、トラクションを失わずに途切れることのない加速を実現。同時に、シフト・ショックをほとんど感じさせることのない快適なシフト・チェンジを可能とし、ダイナミックさと快適さを併せもつドライブフィールを実現させた。

また、「アクティブMディファレンシャル」は、エンジン・パワーを左右リヤ・ホイール間で自在に配分。あらゆる走行状況において最適にエンジン・パワーを路面に伝達する。

日常での走行では、標準装備されたカメラにより前方の監視を行い安全なドライビングに貢献する「ドライビング・アシスト」が活躍。車線の逸脱や前車接近の警告、衝突回避・被害軽減ブレーキが安全性能を高めてくれる。

筋肉質なアスリートのようなエクステリア

スポーツモデルらしさは、エクステリアにも現れている。台形のブレードと大型エア・インテークは力強いフロントフェイスを印象づけるとともに、優れた空力性能とハイ・パフォーマンス・エンジン、さらにブレーキのための高い冷却効果を提供する。古くからのBMWファンならば、1970年代にモータースポーツの歴史に名を刻んだ伝説的なレーシング・カー『BMW 3.0 CSL』、いわゆる『E9』を思い出すかもしれない。

BMWのデザインアイコン「キドニーグリル」には、『Mモデル』特有のダブルスポーク・ホイールのデザインを反映。ハイグロス・ブラックのペイントが施されたダブル・バーを採用した。
次は真横から見てみよう。ショート・オーバーハング、ロング・ホイールベース、後方に配置されたキャビンなど、BMWのクーペモデルに共通するダイナミックなプロポーション。そこに、力強く張り出したホイール・アーチと存在感あふれるデザインの大径19インチのMアロイ・ホイールが相まって、まるで、筋肉質なアスリートのような印象を与える。
後方に回り込むと、LEDライトバーが配置されたL字型リヤ・コンビネーション・ライトと、リヤ・エプロンに走る水平方向のボディ・ラインが、ワイドなスタンスと見た目の安定感を醸し出す。

特別な1台であることを演出するインテリア

インテリアは人間工学に基づいて設計。サーキットでの過酷な走行状況においてもドライバーの意図を確実にマシンに伝えてくれる。また、ブラックのダコタ・レザー・シートのバックレストには「M」のロゴ、ドアパネルにはアルカンタラ、内張にあたるトリムには専用のカーボンファイバーが使われ、『M』を冠する特別な1台であることを感じさせる。
BMWの本質を追究した『Mシリーズ』のなかでも、最もコンパクトな『M2クーペ』。「駆け抜ける喜び」は、車格に左右されるものではない。これまで、走りの楽しさを具現化した数々のコンパクトカーが存在したように、『M2クーペ』も「山椒は小粒でぴりりと辛い」1台になることだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi