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- 恥をかかない大人の文章術 -

文章はゼロから作らなくていい~準備をすることから始める~

インターネットがビジネスシーンで当たり前に使われるようになり、かつてないほどにビジネスパーソンに問われるようになっているのが、実は文章を書く力だ。メール、レポート、企画書…。社内で、あるいは取引先とのやりとりで、みっともない思いをしないためにも、文章とどう付き合うか。恥をかかない大人の文章術を紹介する。

■今回のアドバイザー ブックライター 上阪徹

1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経て95年よりブックライターに。著書に『文章は「書く前」に8割決まる』(サンマーク出版)、『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)ほか多数。

文章をいきなり書き始めない

上阪「文章がスムーズに書けない。書いていると止まってしまう。ものすごく時間がかかってしまう…。そんな声をよく耳にすることがあります。しかし、あるとき、その原因のひとつを私は探り当てたのでした。それは、いきなり書き始めている、ということです。

何の準備もなく、ひとまず書いてみよう、と文章に向かってしまっているということです。それでは文章は書けないと私は思います。文章を書くことを職業にして20年以上になる私ですら、いきなり文章を書き始めることはしません。プロでも、そういう人は少ないのではないかと思います。ゼロの状態からひとつの文章を作っていくなら、どんな要素を盛り込むかを考え、流れを作り、構成をイメージし、一度すべて書いてみてから文章量を調整することがほとんどです。それが当たり前だと思っています。ところが、いきなり文章を書き始めている人が実は少なくなかったのでした。実は大事なことは、『文章を書く前』にあるのです」

伝えたいことをリスト化する

上阪「では、文章を書き始める前に、どんな準備をするのか。まずは、これまで書いてきたように、文章を書く『目的』と『読み手』、そして『相場観』を意識することです。そうすれば、『何を書くべきか』がある程度フォーカスできます。

読み手に伝えるために必要な要素、と言ってもいいと思います。そして、これを紙に書き出してみるのです。何を伝えたいのかの素材を集め、書き出す。短い文章の箇条書きで構いません。これを私は『伝えたいことリスト』と呼んでいます。ワープロ上で別のファイルに整理してみてもいい。面倒なように思えて、実はこれをやったほうが圧倒的に早く文章が書けます。『何を書くか』の整理ができていないから、文章は止まってしまうのです。

難しいことではありません。書きたい要素をメモ程度に走り書きするだけです。企画書でも、レポートでも、メールでも同じ。これをやっておくだけで、伝えたいことが漏れないだけでなく、文章の構成を考える上で俄然、ラクチンになるのです」

文章は、ひねり出さなくてもいい ~しゃべるならどう伝えるか、で構成する~

上阪「『伝えたいことリスト』ができたら、次はどうやって文章を構成していくかを考えていきます。このときに真っ先に意識しなければいけないのが、『最終的な結論は何か』ということです。これがブレてしまうと、結局、何が言いたかったのかがわからない文章になってしまいます。

そしてもうひとつ、リストを眺めていると伝えたい優先順位が浮かんでくると思いますが、それは必ずしも文章にする優先順位ではない、ということに注意が必要です。『伝えたいことリスト』の内容を、どういう順番で書いていけば、最も相手に印象深く伝えることができるのか、を考えるべきです。

このとき、私がお勧めするのが、もし口頭で誰かにこの話を伝えるとすれば、どんなふうに説明すればもっとも伝わりやすいか、を考えることです。論理構成を文章で展開しようとすると、何やら難しいことのように思えるのですが、言葉に出して説明しようと考えると、それほど難しくはなかったりします。しゃべりつもりで考えると、意外にスムーズに構成が浮かんでくるのです」