文章を書く「心得」が変われば、印象が変わる~「文章」を勘違いしている人が多い~
- 恥をかかない大人の文章術 -

文章を書く「心得」が変われば、印象が変わる~「文章」を勘違いしている人が多い~

インターネットがビジネスシーンで当たり前に使われるようになり、かつてないほどにビジネスパーソンに問われるようになっているのが、実は文章を書く力だ。メール、レポート、企画書…。社内で、あるいは取引先とのやりとりで、みっともない思いをしないためにも、文章とどう付き合うか。恥をかかない大人の文章術を紹介する。

簡単には読んではもらえないのが、文章である

上阪「長く文章を書くことを仕事にしてきた私ですが、次第に気づいていったことがあります。もしかして文章は、多くの人に勘違いされているのではないか、ということです。

例えば『文章は書けば読んでもらえる』。ライターの私は雑誌に記事を書いたりします。しかし、絶対に忘れてはならないこととして肝に銘じているのは、実は読者には読む義務などない、ということです。読者は別に読まなくても困らないのです。面白いことを書けば読んでくれる、などというのは、書き手の勝手な思い上がりです。これは、メールでもブログでも同じ。

では、どうしても読まなければいけない文章だったらどうでしょうか。上司に、取引先に。それが読みにくいものなら、大変な苦痛を与えてしまうということです。文章を読むのは、実は大変なこと。ましてや長い文章になればなおさら。報告でも、お願いでも、お詫びでも、読み手は大変な思いをして読む。貴重な時間を割いて読んでいるのです」

情報を文章で伝えることは、難しい

上阪「もうひとつ、勘違いされているな、と私が感じているのは『文章は不完全なものであるという認識が薄い』ということです。文章は物事を伝えるためのツールであるわけですが、この道具は実は極めて使い勝手が悪いものだったりします。伝えたいことが、なかなかうまく伝えられないのです。

『一目瞭然』という言葉がありますが、映像やビジュアルではパッとわかることも、そのすばらしさを文章で伝えるとなると、実は至難の業だったりする、ということは多くの人がご存じのことでしょう。つまり、文章で物事を伝えるのは、それだけ難しい、ということ。伝えたいのに、伝わらない文章になってしまう危険性が常に潜んでいるのです。

こうした『勘違い』を通じて私が改めてお伝えしておきたいのは、そのくらい文章というのは、読み手にも書き手にも、やっかいなシロモノだということです。それをまず、文章を書く『心得』として持っておいてほしいのです」

行替え、行間、漢字の多さ…。文章に気遣いを

上阪「この『心得』を持っておくと、どうなるのか。文章に『気遣い』が生まれます。例えば、相手が文章を読むのは大変だ、という強い認識があれば、少しでもその大変さを減らせるような工夫を自然に意識するようになります。メールを送ろうとしたときに、間違っても開いた瞬間にウッと来るような大量の文章は送らないと思うのです。最後まで読まないと結論がわからないような文章にはしないほうがいいとわかるでしょう。難しい漢字だらけで、いかにも読みにくい文章にはしないとも思います。

冒頭には結論を書いた見出しを置く。適度に行と行の間に空間を置いて、ウッと来ないようにする。長い文章は20字から30字程度で行替えをして、目があちこち飛んだりしないよう読みやすくする。同じ内容の話は塊にしておく。難しい漢字は使わず、平易な文章で書く。『●』や『・』などを効果的に使う…。こうした工夫をする。そうすれば、相手は一気に読みやすくなるからです」

相手はいつ読むのか、まで意識

上阪「『心得』を持って、さまざまな気遣いができるようになると、間違いなく相手はよい印象を抱いてくれます。なぜなら、読むのが大変な文章が読みやすくなるから。この人のメールは読みやすいね、となる。

読みやすくする方法をいくつか挙げましたが、ぜひやってほしいのは、自分で考えてみることです。自分が相手の立場に立てばどうか、想像してみる。読みやすいと思ったメールをヒントにしてもいい。これこそが『心得』のポイントです。

『心得』をしっかり持つと『応用』が利かせられるようになります。いろんな気遣いが可能になる。例えば、メールを送る時間にも気を配るようになったりします。月曜日の午前中は、どんな人もバタバタしているもの。大事な連絡を送るのは避けたほうがいい。金曜の夕方も同様。では、どの時間に送れば、ちゃんと見てもらえるか、そういうことを想像できるようになる。つまり、読み手に意識が向かうのです。そんな気遣いは、間違いなく相手に伝わります」