北方謙三「試みの地平線」第39回
- Hot-DogPRESS powered by éditeur -

北方謙三「試みの地平線」第39回 ~往年の名連載、完全再録中! ワルの友人から逃れるには?~

16年間365回にわたるHDP史上最長連載にして、雑誌そのものの代名詞的存在とさえいわれる名物連載だった「試みの地平線」。当時、30代後半だった先生が、読者の投稿に同じ目線で「相談ではなく、対談のつもりでやっていた」という熱さで応えたあの連載を、当時そのままに再録、連載中!

ワルの友人から逃れるには?

現在、高校1年生です。中学のとき、部活が同じだった人がグレました。一度それを注意したところ、鉄拳がとんできました。それ以降、何かと彼に対しては卑屈になっていましたが、進学した高校がべつべつになったので、すっかり彼のことは忘れていました。そんなある日のことです。「金を出せ」とたかってきたのです。理由もなく、ことわる言葉も見つからないうちに財布をさぐられ、昼飯代をまきあげられました。そんなことがあって非常に悩んでいます。接触しようとは思わないのに、通学電車で一緒になるとか、偶然がつづくのです。僕は彼をさけても、彼は僕を追います。彼がこわいのです。うわさでは、暴力団と関係してるそうです。ワラをもつかむ気持ちで相談します。どうしたらいいでしょうか? 
(長野県 匿名希望 高校1年生)

北方先生の返答。

ひとりの人間を選んでいじめる奴というのは、たしかにいる。そういう奴は、じつは気が弱く、喧嘩もできないことが多い。そのくせ逃げれば逃げるほど、いじめにかかってくる。これはもう喧嘩が強くなるしかない。

修業の方法を教える。柱を背にして立つ。足を開いて踏ん張る。そして、友達に頼んで鼻先を擦めるぐらいのところを殴ってもらう。で、ぜったいに目をつむらないという練習を積むのだ。パンチが飛んできた時、目をつむらず、下の方から、睨み上げる。昔の剣豪は間合いを見切る時に、弟子に躰を切らせたという。切りつけてきた真剣を、じっと見つめて、肌一枚を切らせる修業をした。それと似たものを獲得しなくてはいけない。とにかく目をつむらない練習をする。竹刀で叩かれるのでもいい。もし目をつむったら、針のようなもので股をブスッと刺すとか、そのくらいの凄さで練習をしてみろ。

※今号では1987年8月10日号掲載分を再録しました。

Text by Hot-Dog PRESS編集部