万年筆にこだわるならインクもオーダーメイドで
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万年筆にこだわるならインクもオーダーメイドで

大人の男性なら、こだわりの筆記具がある人も少なくないだろう。万年筆はその代表格とも言えるが、できればインクも自分好みの色を使いたという願望を持っている方もいるのではないだろうか。そんな願いをかなえてくれるお店が、東京・蔵前にある。オーダーインクを作れるこのお店、「そろそろ筆記具にもこだわってみたい」と思っている人にもおすすめだ。

オーダーインクには “書くきっかけ”の提供という側面も

蔵前にあるオーダーインクの専門店 『ink stand by Kakimori』の店内は、カラフルなインクや混色キットが整然と並び、まるでラボのような雰囲気を持つ。このお店がオープンしたのは、2014年9月のこと。
店名にある「Kakimori」とは隣接する文具店『カキモリ』のことで、こちらは6年前にオープン。表紙や中紙、留め具などを選べるオーダーノートや、手軽に購入できるエントリーモデルから本格的なものまで幅広く取り揃えた万年筆などで知られている。

オーダーインクのお店を始めた理由をカキモリ代表の広瀬琢磨さんに伺ったところ、その背景には2つのきっかけがあったそうだ。

「もともと『カキモリ』で、小さな容量でさまざまな色を使いたいというお客様からの声がたくさんあったことから、自社でブレンドしたインクを販売したんです。これが好評でもっと他の色も欲しいという声があったので、それならば自分の好きな色を作るオーダーメイドがいちばんいいのではないかと考えました。また、『カキモリ』は、“書くきっかけ”を作るお店としてオープンして、そのためにオーダーノートなどの仕組みを作ってきました。オーダーメイドで好きな色を作ることで、新たな切り口として『色』が書くきっかけになったら面白いなと考えたんです」と広瀬さん。

そうしてオープンしてから約1年半。現在では、『カキモリ』とともに蔵前の人気スポットのひとつとなっている。広瀬さんによると、お客さんには文具好きはもちろんのこと、万年筆を持っていないものの、まずはインクを作ってみるという人も多いそうだ。

インクの色と比率を自ら試して選べる

オーダーインクに使用するインクは、アメリカのプライベートリザーブ社のもの。同社のインクはミックスできることが大きな特徴で、発色がひじょうに鮮やか。そのため、ミックスすることで少しくすみはするものの、3色ほど混ぜても黒ずんでしまうことはあまりないそうだ。
また、インクフローがよく、書き味がサラサラしているのも特徴。万年筆が極太の場合は、にじみやすいデメリットがあるので注意が必要だが、基本的にどのメーカーの万年筆にも適しているという。

オーダーインクが完成するまでの流れを簡単に紹介すると、まずは、利用者がベースとなる16色のインクから、2色か3色を選ぶことから始まる。それを小さなカップに一滴ずつたらして混ぜ合わせ、ガラスペンで試し書きして、色味を確認。インクの比率などを変えながら、自分好みの色が決まったら、スタッフに色と比率をオーダーするという仕組みだ。
色を選ぶための時間は約30分。店内には各インクを1:1で混ぜた場合のサンプル表も用意されているが、手探りで組み合わせを楽しみながら色を決める人が多いそうだ。

オーダー後は、スタッフが微調整をしながらインクを配合・製造。最後は約33mlのインクボトル(写真下)に入れ、レシピカードとともに渡してくれる。お店側が配合・製造に要する時間は約30分で、その間に隣の『カキモリ』でお好みの万年筆を探すのもいいだろう。

Text by Fumio Miyata