イラストレーター宇野亞喜良展、伊勢丹新宿本店で開催
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イラストレーター宇野亞喜良展、伊勢丹新宿本店で開催

1950年代から活動を開始、80歳を超えた現在も精力的に第一線で活動を続けるイラストレーター宇野亞喜良。その絵を見た誰もが「ああこの人の絵、どこかで見たことがある」という感想を抱くことができる、稀有な存在のひとりだろう。耽美にして可憐、繊細にしてどこかダークな氏の画風は、健在どころかますます磨きがかかっている。今回も、平安時代の美的感覚のひとつ=<をかし>をテーマに描き下ろされた新作を含む約50点が発表される。

伝説にして現役のイラストレーター

そもそもファッションにしろ音楽にしろ、ポップカルチャーの世界で半世紀以上もの歳月を第一線の現役であり続けること自体、非常に難しい。ただ創作を続けていればいいなどという単純な話ではなく、そこで必要とされるのは、作品に対する他者からの評価と支持を常に維持し続ける力だからだ。

宇野亞喜良は商業グラフィックデザイナーとして出発しつつ、60年代には横尾忠則らとイラストレーションスタジオを設立。寺山修司主宰の「天井桟敷」のポスターや舞台美術を手がけるなどして熱狂的なファンを生み、一時代を築いた。世にイラストレーターという言葉を定着させた半ば伝説的な才能といっていい。一方で、好奇心の赴くまま舞台監督や芸術監督、キュレーターとしても活躍を続けてきた。近年では椎名林檎作品のジャケットを手がけたことなども手伝って、さらに世代を超えたファン層を掘り起こしている。
「婚約指輪」キャンバスにアクリル、鉛筆 22×22cm
綺羅星のような作品群は数多のフォロワーを今もなお生み出し続ける。その枯れることを知らない創作意欲と、時代と併走する感受性は、まさに驚嘆すべきものだ。

最新作群は<をかし>がテーマ

特に2014年のウィンドウディスプレイ(空想百貨博物館をコンセプトにした傑作群)以降、初挑戦となる版画を販売するなど、氏と伊勢丹新宿店とは縁が深い。今回の新作展も、再び同店を舞台に開催される。

テーマとして選ばれたのは、平安文学「枕草子」でおなじみの<をかし>というキーワード。「趣がある」「風情があって良い」といった意味を持つこの古い日本語から、無国籍でアンニュイ、時にエロティックさや奇怪さすらまとう宇野亞喜良の世界はどんな化学反応を引き出しているのか。近年さらに人気を集めている<少女>モチーフや、<猫>たちの放つ特異な存在感にも注目だ。
「虫めずる姫」/キャンバスにアクリル、鉛筆 22×22cm
展覧会場には、イラストをあしらった各種グッズなども用意されている。現在進行形で進化を続けるイラストレーターのたどりついた最新の高みをぜひ目撃されたい。

Text by Nin Onodera

Main Illustration by Akira Uno 「猫科パーティー 2016」/キャンバスにアクリル、鉛筆 31×31cm