2億円の超弩級スポーツカー、ブガッティ・ヴェイロン
- スーパーカーブランド【ブガッティ】 -

2億円の超弩級スポーツカー、ブガッティ・ヴェイロン

2015年2月23日、“最後の1台”となる450台目の販売がアナウンスされ、10年の歴史に幕を下ろすことが発表された。なんのことかというと、「ブガッティ・ヴェイロン」である。1000psを超えるW16 8.0Lクワッドターボ、400km/hオーバーの最高速度、およそ2億円という価格…。そのすべてがこの世のものとは思えないほどの“超弩級”スポーツカーだ。間もなく後継モデルの販売が開始される予定だが、同時にヴェイロンにも再び注目が集まっている。

贅を尽くしたインテリアのグランツーリスモ

ブガッティ・ヴェイロンが発表されたのは2005年、なんと東京モーターショーでのことだった。じつは、「ヴェイロン」の名を冠したコンセプトカーが初披露されたのも1999年の東京モーターショー。コンセプトカーの段階ではW型18気筒のエンジンが搭載されていたが、市販にあたって16気筒に改められた。

それでも、4つのターボを持つ8.0Lエンジンは、1001ps/6000rpm、127.6kgm/2200-5500rpmというとてつもない出力・トルクを発揮するものだった。四輪駆動となるヴェイロンの最高速度は、407km/h。安全のために、このトップスピードを出すには運転席横に“第2のキー”を差し込む必要があったが、この儀式が究極のスポーツカーをより特別な存在にしたといえる。実際にこのトップスピードを体験したオーナーが、いったいどれだけいるだろうか。
しかし、ただ高性能なだけでは、ここまで伝説的なクルマにはならない。ヴェイロンは、超弩級の性能を誇ると同時に、贅を尽くしたインテリアを持つグランツーリスモでもあった。それは下の写真を見てもらえればわかるだろう。すべてが上質な革で包まれ、アルミの光沢が華を添えている。なお、究極のスポーツカー、「ブガッティ・ヴェイロン16.4」は、全世界で最大300台のみの販売がアナウンスされ、デビュー当初、日本では1億6300万円のプライスタグがつけられていた。

約2億7800万円、エルメス仕様の特別モデル

10年の歴史の中で、ヴェイロンにはさまざまなバリエーションが登場した。ひとつは、オープントップの「ヴェイロン16.4 グランスポーツ」だ(メイン写真と下の写真)。それまでのクーペモデルをベースに、取り外し式のルーフを備えた。もちろん、ただルーフを取り去っただけでなく、オープン化にともなく剛性強化なども行われている。このグランスポーツは、予定生産台数とは別に、150台の生産枠が設けられ、日本でも2億5300万円(のちに2億800万円に改定)で販売された。
1001psの最高出力をさらに高め、1200psオーバー、最高速度431km/hとして「スーパースポーツ」も、ヴェイロンの歴史を語る上で外すことのできないモデル。世界最速の市販車としてギネス世界記録にも認定されている(下の写真)。オープントップのグランスポーツに、この1200psエンジンを搭載した「グランスポーツ・ヴィテッセ」も存在した。
この他に、内外装に特別な仕立てを施した特別仕様車がいくつかあり、下の写真の「Fbg par Hermès」もそのひとつ。その名の通りのエルメス仕様である。エルメスのデザイナー、ガブリエーレ・ペッツィーニが内外装をデザインし、手仕上げレザーが覆われた内装や、エルメスのHマークが備わったホイールが備わっている。日本でも2億7800万円のプライスタグがつけられていた。

後継モデルは1500psの“ブガッティ・シロン”

クーペモデル300台、グランスポーツ150台、計450台の最後の1台となったのは、「ラ・フィナーレ」と呼ばれるグランスポーツ・ヴィテッセで、中東のオーナーに納車されたという。
ヴェイロンの登場後、ポルシェ918スパイダーやラ・フェラーリなど、新世代の高性能車はいくつも生まれてきている。しかし、ヴェイロンを超える“究極のスポーツカー”であるかといえば、そうではなく、あくまでもポルシェやフェラーリの進化系だ。パガーニ・ウアイラというクルマもあったが、ウアイラは走りに特化したスーパーカーである。

ブガッティのCEO、ヴォルフガング・デュルハイマーは、ヴェイロンについて「アートを超えるもの」という旨のコメントを残した。そう、ヴェイロンはもはや自動車という範疇を超えた存在なのだ。自動車の形をもって、究極の高性能と贅沢を体現したのである。

では、ヴェイロンを超える”作品“はもう生まれてこないのか? しかし、その心配は必要なさそうである。1500psを誇る「ブガッティ・シロン」という名の後継モデルの登場が控えており、すでに100台を超える予約が入っているという噂だ。“究極を超える究極”の登場を心待ちにしたい。

Text by Muneyoshi Kitani