100台限定のコンプリートスポーツカー「86 GRMN」
- スーパーカーブランド【トヨタ】 -

100台限定のコンプリートスポーツカー「86 GRMN」

クルマ本来の操る醍醐味を徹底的に吟味して2012年に誕生したトヨタ「86」。小型、軽量、そしてFRレイアウトというスポーツカーの定番レシピをもって生まれたこのクルマは、老若男女問わず、現在も高い人気を誇るモデルのひとつだ。その86に2016年1月、わずか100台だけが販売される限定モデルが登場した。「GRMN」の称号が与えられたこの限定モデルには、通常モデルの2倍以上となる648万円のプライスタグがつけられた。

開発の舞台となった“ニュルブルクリンク”

「GRMN」とは、トヨタ及びGAZOO Racingが展開するコンプリートカーブランドである。GRMNの開発の舞台は聖地“ニュルブルクリンク”。世界屈指の難コースで、一般道からサーキットまで道を選ばずに、誰もが気持ち良く感じる走りの性能を追求したクルマ作りを続けている。

もちろん「86 GRMN」の開発もニュルブルクリンクで行われたのだが、その過程はこれまでのGRMNコンプリートカーとは一線を画している。GAZOO Racingは、2012年からニュルブルクリンク24時間レースに「86」を持ち込み、デビューイヤーと2014年にクラス優勝を果たしている。「86 GRMN」は、そのニュルブルクリンクへの参戦と並行して開発されてきた。レース活動のなかで培われた“生の技術”が投入されているホンモノといっていいクルマなのだ。

機能美を極めたロードゴーイングレーシング

「86 GRMN」の見た目はまさに“GTカー”である。CFRP製のエンジンフードやトランクリッド、エアロパーツ、極め付けのリヤの大型スポイラーが、走行性能を突き詰めたレーシングマインドを表現している。

これらは単なるドレスアップではなく、より高い次元の走りを求めたからこそ装着されたもの。その無骨さかから生まれる機能美はレーシングカーと同じものだ。
チューニングは内部にも及んでいる。アクセル操作に機敏に反応するエンジンレスポンスを求めて、低フリクションクランクベアリングや低張力ピストンリング、軽量ピストンを採用。そして空気の通り道であるインテークマニホールドからマフラーエンドに至るまで専用の“気管“を装着することによって、よりレーシーなサウンドチューニングにも成功した。

そのほか、サスペンションやブレーキ、トランスミッション、ドライブシャフト、そしてドライバーを包む内装に至るまで、走りに関わるもの全てにチューニングが施されている。ロードゴーイングレーシングカーと呼ぶに相応しい内容だ。
「86」の人気の理由は、クルマそのものの魅力だけではなく、手に入れた後に広がる世界にある。サーキットに通い、自分の走りを鍛えることも楽しいし、なにより「86」を素材としてのカスタマイズやチューニングも根付いている。そこには完成形はなく、オーナー自身が答えを見つけていかなければならない。「86 GRMN」はトヨタ自身が86オーナーとなり、完成させたひとつの回答だと考えられる。この“回答”がどんなものかは、86 GRMNのキーを手にした100人のオーナーだけが知るところである。

Text by Tetsuya Abe