紙の山岳立体模型キット「やまつみ」で自宅に名峰を
- 40男が嗜む逸品 -

紙の山岳立体模型キット「やまつみ」で自宅に名峰を

山を愛する人たちの間で話題となっている、紙を積み上げて作る山岳模型キット「やまつみ」。作り方は非常にシンプルで、根気とピンセットさえあれば、自宅にお気に入りの山を飾ることができる。休日は山に出かけてばかりというアウトドア派にこそおすすめのアイテムだ。

紙を積み上げるだけでリアルな山が完成

完成すれば、自宅にいながらにして名峰を眺めることができる「やまつみ」。その名の通り、木製などの台座の上に、標高20mごと(縮尺1/50,000の場合)に切断された紙のパーツを積み上げていくだけで、趣のあるリアルな山並みを再現することができる。

パーツに設けられた基準となる穴に、付属の位置決め用の棒を挿し込んで紙を重ねていく仕組みのため、紙の向きを間違えたり、ずれが生じたりする心配は無用だ。
また、各パーツはカラー印刷済みで、シール加工が施されている。用意が必要な道具は小さなパーツを貼り付ける際に使うピンセットのみというのも魅力だ。

「やまつみ」を制作・販売しているのは札幌にある有限会社キューアールシー。同社代表の渡辺さんによると、制作のきっかけとなったのは友人に誘われた富士登山だそう。北海道から遠征したものの、悪天候のために2年続けて8合目で登頂を断念。3年目にようやく初登頂に成功したという。

「3年ともコースも宿泊した山小屋も同じで、4つある登山ルートのうち、他の3ルートはまったく知りません。また、出発前の登山計画作成では、紙の地図に書かれた等高線や登山道をにらんでもイメージできず、登山中にも『富士山の反対側ってどうなっているのだろう?』と考えていました。そんな経験が『やまつみ』を作ろうと思ったきっかけです」

と渡辺さん。2011年8月に、スプレー糊などで貼り付けるタイプの「やまつみ」を販売開始。翌年6月から現行のシール加工された紙を貼り合わせて積み上げるタイプになったという。

各パーツのデータには国土地理院発行の2万5千分1地形図の等高線情報を使用。高さの比率は等倍もあれば、1.4倍や1.6倍、さらには2倍など、より高さを強調したものもある。山の姿を立体的に捉えられるため、これから登る山の予習にも役立つ優れものだ。

人気は富士山や北アルプスの山々

現在のラインナップは「やまつみ」のHPに掲載していないものも含めると70種類を超える。そのなかで突出した人気を誇っているのは、やはり富士山関連のもので、穂高岳や槍ヶ岳、劔岳といった北アルプスの名峰がそれに続くそうだ。また、地元の山や思い入れのある山を購入するケースも多いという。
渡辺さんのおすすめもやはり富士山を中心とした「富士山 1/150,000」。山梨側の富士五湖や静岡側の愛鷹山が直径30cmの円内に収められ、山々の緑に富士五湖のブルーが映えるこの模型、完成までに要する時間は10時間ほどだそうだ。

富士山には、「やまつみ」シリーズにおいてもっとも簡単で、1時間半ほどあれば完成する「手乗り富士山 1/150,000」などもある。
一方、シリーズ中、もっとも難易度が高いのは奥穂高岳や槍ヶ岳などが入った穂高連峰(上写真)。いくつものピークが連なる険しい山並みを完成させるまでに約30時間かかるそうで、達成感も最大級と言えるだろう。
また、変わったところでは、東京の秘境として知られる青ヶ島の「しまつみ」(上写真)もある。二重になったカルデラが美しい島で、港もしっかり再現されている。

今後の展開について「短期的な目標は、日本百名山制覇です。また、ヒマラヤやスイスアルプスなどの世界の山のキット化を企んでおります」と渡辺さん。ますます期待が高まるこの「やまつみ」。コツコツとパーツを積み上げる過程や山頂に達したときに得られる快感は、まさに登山そのものだ。アウトドア派のみなさん、山に出かける予定がない休日は、部屋にこもってお気に入りの山の「やまつみ」に没頭するのもいいのではないだろうか。

Text by Fumio Miyata