国内初となる「ワイン」がテーマの展覧会
- 40男が嗜む逸品 -

国内初となる「ワイン」がテーマの展覧会

ワイン好きならば知っておきたい知識と教養と楽しみを凝縮した、ワインをテーマとした国内初となる大規模展覧会「ワイン展―ぶどうから生まれた奇跡―」が現在、上野の国立科学博物館で開催中だ。

ワインと真摯に向き合うために

ワイン好きな40~50代男性のエディトゥール世代なら、銘柄や味に関する知識は豊富という方は多いはずだ。また昨今は高級ワインの需要が世界中で拡大していることもあり、ワイナリーへの投資がトレンドになっているほか、自らワイナリーやシャトーのオーナーになりたいという夢を抱いている方もいることだろう。

しかしワインにどんな歴史があり、産地はどこにあってどんなぶどうを使い、どういった製法で作られ、どんな楽しみ方があるのかまでを熟知している人は少ないはずだ。生きた情報を仕入れるには、やはり産地やワイナリーまで行くのが最適だ。しかしまとまった時間がない…そんな人にうってつけなのが、東京・上野公園内の国立科学博物館で開催されている「ワイン展―ぶどうから生まれた奇跡―」である。

製造工程、歴史、楽しみ方…ワインのすべてに触れる

ぶどう畑の1年(演出イメージ)
本展は3つのゾーンに分かれている。ゾーン1は「ワイナリーに行ってみよう」と題し、実物大のぶどう棚を模したものの展示などがあり、ぶどうの栽培条件などをあらわす「テロワール」の説明から始まり、その収穫したぶどうを除梗・破砕、発酵、圧搾、貯蔵・熟成、瓶詰めするというワイナリーで実際に行われている工程が見学できる。害虫を防ぐための接ぎ木の紹介や四季にわたるぶどう畑の定点観測映像、また選果作業やぶどうを踏んで破砕する工程、発酵中の液を櫂でかき混ぜて濃度を均一にするための「ピジャージュ」などを擬似体験できるコーナーもある。
リュトン、イラン、前4世紀頃(平山郁夫シルクロード美術館蔵)
続くゾーン2は「ワインの歴史」を紐解く展示だ。紀元前6000年、西アジアのカスピ海と黒海に挟まれた南コーカサスが起源と考えられているワインがどのように広まり、定着していったのをパネルで展示するほか、貯蔵用の壺である「アンフォラ」(トップ画像右)、紀元前4世紀頃の動物をかたどった酒器「リュトン」など貴重な出土品も並ぶ。また高温多湿でぶどう栽培には工夫を要する日本でのワイン作りの歴史も紹介。戦争で意外な使われ方をしたワインの成分について、そして現存する最古の日本産ワインの現物の展示など先人たちの足跡を実感できる。
Le Nez du Vin(ル・ネ・デュ・ヴァン)
ゾーン3では「ワインをもっと楽しむ」と題し、「Le Nez du Vin(ル・ネ・デュ・ヴァン)」と呼ばれるワインの香りのサンプルが入った小瓶と同じような香りを体感できるコーナーのほか、様々なワインの色を見ることのできる展示もある。目と鼻に自信のある方はぜひともチャレンジしていただきたい。

さらにはエミール・ガレが1900年に製作した酒器「「葡萄文栓付瓶」(トップ画像中央)や、2010年にバルト海の沈没船から見つかった約170年前のシャンパーニュの実物の展示、高級シャンパーニュの代名詞「ドン・ペリニヨン」とアーティストがコラボレーションしたボトル、さらにはボルドー5大シャトーのひとつである「シャトー・ムートン・ロートシルト」のピカソやアンディ・ウォーホルらによるアートラベルのボトルが年代順にずらりと並ぶなど、ワイン好きにはたまらない空間が広がっている。
沈没船から見つかった約170年前のシャンパーニュ 写真提供:Visit Aland
第二会場には「ワイナリーの現在」という世界と日本のワイナリーを紹介、さらに併設の販売スペースもあり、全身でワインの魅力を味わえる展覧会となっている。本展は2016年2月21日まで開催。ぜひ早めに足を運んでほしい。

Text by Tamotsu Narita

画像左:レースガラス・カンティール、17世紀末-18世紀初頭 (サントリー美術館蔵) 画像中央:葡萄文栓付瓶、エミール・ガレ、1900年(サントリー美術館蔵) 画像右:アンフォラ(アッティカ黒像式陶器)、ギリシア、前520年頃(平山郁夫シルクロード美術館蔵)