BMWを超えるBMW、「アルピナ」というクルマの価値
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BMWを超えるBMW、「アルピナ」というクルマの価値

「アルピナ」は、BMWの各モデルをベースに、独自のメカニズムや内外装を与えたオリジナルモデルを生産するドイツの自動車メーカーだ。アルピナが生み出すクルマは、BMWのようでありながら、BMWとはまったく別物。いわば、「BMWを超えるBMW」である。

50年前にファンが設立した自動車メーカー

アルピナは1962年、BMWのファンだったブルガルト・ボーフェンジーペンという人物によって誕生した。彼は自身の「BMW1500」をはじめ、いくつかのモデルのチューニングを行ったのち、BMWのチューニングパーツの製作・販売をスタート。その性能や品質が高い評価を受けてBMW公認チューナーとなり、以後、アルピナがチューニングした車両でもBMWの車両保証が与えられることとなった。正式に設立されたのは1965年で、2015年には50周年を迎えた。

アルピナはその後、欧州ツーリングカー選手権をはじめ、数々のレースに出場して結果を残したが、1977年を最後にレースの舞台から姿を消している。その理由は、それまでの「チューニングメーカー」から「自動車メーカー」への転身を図るためだったという。

そして、1978年秋、アルピナは「B6 2.8」「B7ターボ」「B7ターボ・クーペ」の3モデルを世に送り出す。B6 2.8(下の写真)は当時、4気筒モデルしか存在しなかった3シリーズに6気筒エンジンを積んだもの。意外なことに、6気筒3シリーズは本家BMWよりもアルピナのほうが先だったのだ。1983年にはドイツ自動車登録局に自動車メーカーとして正式に登録され、現在まで続く「BMWを超えるBMWを生み出すメーカー」としてのスタイルを確立した。

高い次元の“完全なる調和”を目指したクルマ

アルピナが送り出すモデルは、いたずらにパフォーマンスを絞り出すわけでもなく、サーキットを走りこむようなガチガチの“マシン”でもない。パフォーマンス、環境性能、快適性、インテリアの質感…、そのすべてを高い次元に引き上げた“完全なる調和”のクルマだ。メカニズムは時代に応じて進化しているが、内外装に施されるメイクアップのメニューは1978年に登場した最初の3モデル以来、現在に至るまで大きく変わらない。特徴的なのは、20スポークの大径アルミホイールと、控えめなエアロパーツ、ボディサイドに走るデコレーションラインの「アルピナストライプ」だろう。この3点が、伝統的なアルピナらしさを引き立てる。
インテリアは、「ミルテ」「エルム」などの希少な木材を使用したウッドパネルとレザーのシートによる豪華な仕立てとなっている。ボディカラーやインテリアの仕様も、顧客の好みの応じていかようにも仕上げることができるが、ボディカラーは伝統的なアルピナブルーとアルピナグリーンの人気が高い。

世界で販売された1700台のうち400台が日本へ

日本におけるアルピナの歴史は古く、ニコルグループの手によって1979年にB7ターボが持ち込まれて以降、多くのアルピナが日本に上陸している。2014年にアルピナが全世界で販売した1700台のうち、実に400台が日本で販売されており、日本人のアルピナ好きはなかなかのものといえる。

現在、日本でラインナップされるのは、スポーツディーゼル搭載モデルの「D3 BITURBO」「D4 BITURBO」「D 5 TURBO」、そしてSUVの「XD3 BITURBO」を含めた9モデル。
どれもベースとなっているBMWの各モデルより5割ほど高価だが、そのクオリティとパフォーマンス、希少性を考えれば納得のプライスだろう。ありきたりな表現だが、違いがわかる大人こそが乗るべきクルマ。それがアルピナであり、その価値なのである。

Text by Muneyoshi Kitani