薫香とともに味わう炉窯焼きイチボの塊肉
- 40男、至高のグルメガイド -

薫香とともに味わう炉窯焼きイチボの塊肉

ワイン好きな女性は、例外なく肉が好きである。そして、ワインにあう肉料理といえば、やはり焼肉よりステーキだろう。とはいえ、ステーキであればどこでもいいわけではない。40男がデートでステーキ店を使うなら、肉が美味いのは大前提として、プラスαのスペシャル感が欲しいところ。かつ、“肉慣れ”した女性をも唸らせる要素があれば完璧だ。例えば、黒毛和牛の「塊肉」を炉窯でじっくり焼き上げ、肉の焼き上がる時間にあわせてお客が来店するような。それが、今回紹介する渋谷のステーキ店『煉瓦』である。

肉の焼き上がる時間にあわせて来店するスタイル

世の中にステーキ店は数あるが、ほぼどこの店であっても、使用される肉の部位はサーロインかフィレと相場が決まっている。しかし、同店のステーキで使用される部位は、ひとつの牛から6kg前後しか取れない希少部位「イチボ」。明確な差別化をはかりにくいステーキ店において、同店が決定的に異なっているのは、この「イチボ」を使ったステーキを出している点だろう。

「窯と塊肉で焼くことで、素材のポテンシャルが引き出されるものを探した結果、うちではイチボに落ち着いた。日本中のステーキレストランを探してみてもサーロインやフィレを差し置いて、イチボを主軸に提供しているお店は、まずないと思います」
そう語るのは、同店ゼネラルマネージャーの佐々木さん。6kgなら、6㎏そのままのイチボの「塊肉」を炉窯に入れ、約6時間かけて焼き上げるため、当然、お客にオーダーを受けてから焼いても、とても間に合わない。そのため、同店では肉の焼き上がる時間(毎日20時)にあわせて、各々来店してもらうというスタイルを取っている。これも同店ならではの特徴だろう。

塊肉を炉窯で焼くメリットは何かといえば、カット状態で焼いた肉はどうしても肉汁が逃げてしまいがちだが、塊で焼けば肉の中心が保護されるので、肉汁をしっかり閉じ込めた状態で焼き上がる。それだけ旨味を逃がさず焼き上げることができるのだ。

イタリアワインと“記憶に残る”ステーキ

同店の開店時間は18時半からだが、来店するベストの時間帯としては「19時」を推奨しているという。それは定刻で焼き上がる肉(300g)はコースに含まれるため、肉の焼き上がる時間とメインのタイミングをあわせるためだ。
「20時に来られた方はコースの順番が肉からになってしまうので、通常のコース順にお召し上がりいただくには、19時がベストなんです。また、焼き上がりをお待ちいただく間に、店内に肉を焼く香りがどんどん漂うので、香りも含めて、厨房の臨場感を味わっていただけたらと思います」(佐々木さん)

肉の焼き上がりを待つ間は、やはり彼女とワインを傾けたいところ。ワインを中心とした酒類の品揃えも充実しているが、同店が少し違うのはワインが一般的なフランスワインではなく、イタリアワインしか置いていない点だ(常時100種類以上取り揃え)。複数のブドウを集めて大手ワイナリーがワインをつくるフランスと違い、地ビールや地酒に近いイタリアワインは、味のバラエティが豊かなのだそう。それだけに、ひとつひとつの料理にあうワインをペアリングで出してもらうコース(10800円)も人気があるという。
そうして、いよいよメインの肉が登場する段になれば、ここでお連れの彼女はまた驚くはず。炭と薪を熱源として炉窯で焼く同店のステーキは、肉自体にも薪の燻香がつくからで、「口の中で広がる香りは、ほかのステーキレストランさんとまったく違う印象で食べていただけると思います」と佐々木さんも胸を張る。言うまでもなく香りは記憶に残るもの。ここで食べるステーキは、きっと彼女にとって「記憶に残るステーキ」になることだろう。

Text by Naoya Aoyagi(Seidansha)