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- スーパーカーブランド【ランボルギーニ】 -

スーパーカー時代幕開けの象徴ーレジェンドモデル・ミウラSV

ランボルギーニの歴史に燦然と輝くヒストリカルモデル、350GTとミウラSV。本社サンタガータのミュージアムに秘蔵されているこの2台の試乗記もいよいよ後編。そしてこのシリーズも今回が最終回。スーパーカー時代を切り拓いた名車、ミウラSVに迫ります。

ランボルギーニ=スーパーカーの時代はここから始まった

65年の11月に開催されたトリノショーで、新興メーカーのランボルギーニは一台の野心的な“ベアシャシー”(クルマから外板ボディパネルを取り去った状態)TP400を展示します。

 エクステリア(外観)がない状態だったにも関わらず、人々の視線を釘付けにした理由は、そのベアシャシーのミッド(真ん中)に、V12エンジンが横置き(=TP)されていたからでした。
それは、多くの人々にレーシングカーそのものと映ったはず。なにしろ、その頃はまだミドシップレイアウトといえばレースカーの専売特許という時代。市販されていたミッドシップ・ロードカーは、もっと小さなエンジンを積んだマトラやロータスしかなかったのですから。

 しかも、ランボルギーニには当時、レース好きの若き天才エンジニア、ジャンパオロ・ダッラーラがマセラティから移籍していました。ベアシャシーを見たクルマ好きたちが勢い、「ランボルギーニがいよいよレースに参戦するぞ」、と思い込んだとしても、不思議ではありません。

 そういう期待も大きかったのでしょう。たちまちミリオネアたちのあいだでも話題となり、翌年66年の春、このベアシャシーにベルトーネ(マルチェロ・ガンディーニ)のスタイリングによるエクステリアを被せたミウラP400がついにショーデビューを果たすや否や、たちまち100台規模のオーダーがランボルギーニに舞い込んできたのでした。

 ミウラはその後、68年にP400S、そして71年にはP400SVへと発展。フェラーリがフロントエンジンのV12気筒GTカーを生産していた時代に、ランボルギーニはいち早く、ミドシップ12気筒マシンを販売し、スーパーカーブランドとしてその名を世界に轟かせ始めたのでした。

貴重なミウラSVを、サンタガータで全開に!

 黄色いミウラSVのV12エンジンも、当然、いっぱつで掛かってくれました(エンジンを掛ける手順は変わりません)。しかも、その音と振動の迫力といったら!

350GTがあまりにも洗練されていましたから、里璃さんもちょっと気を抜いていたのでしょう。ミウラのエンジンが轟然と目覚めると、こちらに向かってパッと目を見開き、両手で口を覆いつつ、驚きの様子がまるで隠しきれません。
「すごーい!さっきの赤いのとは、全然違いますよね!」。ふたりの背後では盛大なメカニカルノイズが鳴り響いており、そのままぢっとしているのさえ難しいくらい。早く走りだせよ、速く走れよ、と、まるでクルマから急かされているようです。

 ミウラもまた、走り出すこと自体にさほど苦労は要りません。クラッチペダルをゆっくり放すアイドリングスタートも可能だからです。少し車体が動きはじめて、クラッチペダルを完全にリリースすれば、あとはじわりとアクセルペダルを踏み込んで、スタートです。
 地を這う、とは、まさにミウラのためにある修飾語でしょう。真っ直ぐのみならず、車体の左右の動きもまた地を這うが如き。まったく、ゴーカートのようです。加速フィールもまた豪快のひとこと。背後のメカニカルノイズは、速度が上がっていくにつれ、ひとつのシンフォニーとなっていきます。ひとたび回転が上がってくると、車体の動きにはドライバーの意のまま感が大いに増して、自分の右足がまるで指揮者のタクトにでもなったかのよう。西川、隣に里璃さんを乗せているのも忘れて、運転に没頭してしまいました。
 P400SVは、ミウラシリーズのなかでも特に人気があり、世界のクラシックカー市場においては2億円以上のプライスを付けることもあるモデルです。そんな高価で貴重なモデルであると知りつつも、そしてそれがランボルギーニ本社のミュージアムコレクションの一台と分かっていながらも、ついついアクセルペダルを踏みこみたくなってしまう。

 ただ見るだけでも素晴らしいクルマですが、走らせる魅力にも充ちている。それが、世界のクルマ好きを虜にして止まない、ミウラの魔性というべきでしょう。

ランボルギーニの歴史を一堂に

 ランボルギーニ本社には、一般の方でも入場可能なミュージアムが併設されています。平日のみの開館で、入場料はひとり13ユーロ。今回、試乗することのできた350GTやミウラSVをはじめとする歴代ランボルギーニの数々に、貴重なコンセプトカーやレーシングカーなどが、ところ狭しと居並ぶその光景は、ランボルギーニファンのみならず、クルマ好きをきっと狂喜乱舞させることでしょう。
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