ルノースポールが完成させた2つの最上級スポーツ
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ルノー・スポールが完成させた2つの最上級スポーツ

ルノーを象徴するハッチバックといってもいい「ルーテシア」と「メガーヌ」には、上級スポーツグレードの「R.S.(ルノースポール)」が存在する。ルノーのモータースポーツ部門であるルノースポール社がこれまで培った技術やノウハウをつぎ込んで完成させる珠玉の名車たちは、スーパーカーにも引けを取らない。今回、2台のR.S.に設定された最上級モデルも、ヨーロッパ製スポーツカーの顔となり得るだろう。

最高峰の完成度「ルーテシア R.S. トロフィー」

ルーテシアに「ルノースポール」が誕生したのは1998年デビューの2代目からで、全長4mに満たないコンパクトなボディに、ルノースポールがチューンを施した2.0リッターエンジンを積んだホットハッチだった。また、ルーテシアのワンメイクレース「クリオトロフィー」用のマシンを公道用にリファインし、最大出力255ps/7150rpm(後期型)のV6エンジンを搭載した「ルーテシア ルノースポール V6」が存在したのもこのときだ。V6モデルこそ一世代限りであったが、ルーテシア・ルノースポールのホットな走りは多くのファンを生み、現在生産されている4代目ルーテシアにも設定されている。

今回の「ルーテシア R.S. トロフィー」(メイン写真と下の写真)は、これまでのスポーツモデルの集大成といっても過言ではないだろう。車重1290kgの軽量ボディに搭載されるエンジンは、ダウンサイジングが図られた1.6リッター直4ターボエンジンだ。カムシャフトタペットにダイアモンドライクカーボンコートを施すなど、F1の技術をフィードバックしたこのユニットは、最高出力220ps/6050rpm、最大トルク260Nm/2000rpmを発生。先代よりも性能が20ps、20Nm向上している。
スイッチひとつで「ノーマル」「スポーツ」「レース」にエンジンマップを変更可能な「R.S. ドライブ」も搭載しているため、シチュエーションに合わせて刺激的な走りが楽しめそうだ。トランスミッションには、「6速エフィシエント デュアル クラッチ」を採用。パドルシフトによる素早いシフト操作ができ、「スポーツ」「レース」モードを選択しているときは、ローンチコントロール機能も作動する。
軽快な走りに寄与する高剛性シャシーや、さまざまな路面状況下で最適なグリップ力と乗り心地を確保するハイドロリックコンプレッションコントロールを備えたフロントサスペンション、さらに電子制御ディファレンシャルと、最新の装備も備えて進化した「ルーテシア R.S. トロフィー」。気になる価格は329万5000円だ。このパッケージを考えれば、けっして高くはない。

最速の遺伝子を継ぐ「メガーヌ R.S. カップS」

一方、メガーヌも最速車の遺伝子を受け継ぐモデルだ。全長約20.832kmに及ぶドイツ・ニュルブルクリンク北コースは、大小さまざまなコーナーや勾配などが配置されている。路面状況も公道に近く、世界一過酷なコースといわれ、世界中のメーカーがテストを繰り返し、最強のスポーツカーを作り上げようと切磋琢磨している。ルノーもまた例外ではない。2014年6月、コースに出走した「メガーヌ」の最高峰スポーツモデル「メガーヌ R.S. トロフィーR」は、1周7分54秒36をマーク。そのタイムは当時、市販FF車の中のトップであった。

エンジンや足回りなど、走りを構成するすべてのパーツに手を加えているといってもいい、その「メガーヌ R.S. トロフィーR」は、2014年末に60台限定で日本発売されるも、その日のうちに予定台数に到達し、抽選になったほどの人気となった。今回、日本で発売される「メガーヌ R.S. カップS」も、トロフィーRと同様に60台限定。このスペシャルマシンもまた、「瞬殺」されそうな勢いだ。
パワートレインには、最高出力273ps/5500rpm、最大トルク360Nm/3000-5000rpmを発揮する2.0L直4ターボエンジンを採用。トランスミッションはオーソドクスな6MTを組み合わせる。また、その性能を存分に発揮するために、減衰力調整可能なオーリンズ製ダンパーや、「メガーヌ R.S.」よりも4kg軽量でより官能的なサウンドを奏でるアクラポビッチ製チタンマフラー、その他にも軽量ホイールやエアインテークブレードなど専用パーツを装備。
内装にもアルカンタラのステアリングやレカロ製シートを採用し、ルノー最高峰のスポーツモデルであることをアピールする。価格は456万円だが、その仕様や希少性を鑑みれば、手に入れる価値は大いにありだろう。

世界的なSUVブームは現在も続いているが、一時期に比べてスポーツカーのラインナップが増え、その価値が見直されているのも事実だ。やはりスポーツカーは、メーカーの技術力や存在感をアピールするのになくてはならない。「ルーテシア R.S. トロフィー」と「メガーヌ R.S. カップS」は、ルノーのスポーツカーメーカーとしての存在感を高める2台であることは間違いない。

Text by Tetsuya Abe