ライディングのような操縦感覚、スーパーセブンの魅力
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ライディングのような操縦感覚、スーパーセブンの魅力

イギリスの名門メーカー、ロータスの創始者コーリン・チャップマンが開発した軽量スポーツカーの代名詞「セブン」。1973年に製造権をケータハムに譲ったものの、その直系モデルや「ニア・セブン」と呼ばれる類似モデルが現役で生産され続けており、伝説を今なおリアルで確かめられる貴重なモデルである。ロータス及びケータハム・セブンを中心に、このクルマの魅力と楽しみ方を紹介しよう。

イギリスでは資産目的でなく楽しむためのクルマ

かつてロータスが生産し、BMCやフォードエンジンを搭載したセブンには、スタンダードな「ロータス・セブン」とチューンアップされた「スーパーセブン」があり、シリーズ1から最終型のシリーズ4まで3回のモデルチェンジが行われた。現在は中古でしか手に入れることのできないオリジナルモデルは希少だが、類似モデルに比べると程度の良いものが多く、価格も割高。どちらかというと、国内では乗って楽しむというよりも資産目的やコレクターズアイテム化してしまっている。

しかし、もともとセブンの設計思想は「手軽にいじって遊べる軽量スポーツカー」。イギリスでは完成車のみならず、アッセンブルキットでも販売されていたキットカーでもあり、プラモデル感覚でいじって走って楽しめる手軽なファンアイテムの位置づけで、レースなどのスポーツを始めるにはうってつけのクルマだった。

イギリスでは資産目的でなく楽しむためのクルマ
(C)Niels de Wit f

さらに部品の多くが他モデルと共通しており、その構造も単純だ。改造や流用、整備も簡単で、カスタムメーカーやビルダーも国内外に数多く存在している。イギリスにおけるセブンは、日本でいうバイクのホンダ・モンキーのような、手軽でイージーなキャラクターであったともいえる。

(C)Brian Snelson

筆者も過去に一度、バギースタイルでマニアからの評価はいまひとつ低いモデルだが、「シリーズ4」に試乗したことがある。当時まだ最先端技術であった、スケルトンフレームとFRPボディの独特な共鳴音、タイヤの位置をダイレクトに感じさせる操縦感、ホールド感のいいドライビングポジション、そしてライブで聞こえてくる排気音やエンジン音に、まるでバイクに乗っているような錯覚に陥った。

また、ワインディングロードなどでバイクのようにパワーを殺してコーナーに入り、パワーをかけてコーナーを立ち上がろうとすると、侵入ではアンダーステア気味だが、パワーをかけたところで徐々にオーバーステアが出始めるという独特のドライビング感覚があった。だが、これは戸惑う類のものではなく、コツをつかんでさらに乗りこなしてみたくなる「やる気スイッチ」的なもの。その絶妙な味付けに、一目惚れ、いや、一乗り惚れしたことを思い出す。

(C)Brian Snelson

DNAを受け継ぐスズキエンジンの「セブン160」

このロータス・セブンのDNAを直系で引き継いで開発・生産しているケータハムが、軽ナンバー登録できるブリティッシュスポーツ「ケータハム・セブン160」を日本で発売したのは2015年4月1日のこと。スズキの660cc、3気筒DOHCターボの軽自動車エンジンとエブリィ(!)の5速マニュアルトランスミッションを採用して話題となったのは記憶に新しい。これは世界的な潮流になりつつあるダウンサイジング・エコロジー志向の流れへの対応であり、セブンシリーズの新たなエントリーアイテムとしての位置づけだ。

さすがにケータハム・セブンの480/350のようなグーンと腹に響く感じの中速トルク感や、どこまで引っ張れるのかと思わせてくれる3速ギアの伸び、セブンの代名詞でもある凶暴とも思える排気音などは影を潜めているものの、熟成されたスズキターボエンジンの必要十分なトルク感と、エンジンパワーを使いきれる楽しさが好評だ。

もちろん、運転していてついついにやけてしまうという、スーパーセブンのキャラクターは確実に受け継がれている。ちなみに燃費は当然のことながら、セブンシリーズの史上最高をマーク。受注状況も好調なようで、もともと規模の大きくないケータハム社ではあるが、今なお予約待ちのユーザーもいるという。

セブンシリーズをひと言でいえば、「いい大人がハマる駄菓子」である。けっして高級料理ではないが、こだわりと楽しさに満ちたドライビング&コミニケーションツール、それがセブンイズムの根幹だ。ファントゥドライブ、そしてファントゥタッチ。スーパーセブンシリーズはコレクターアイテムとして保存するより、ぜひライドカーとして能動的に楽しみたいところだ。

DNAを受け継ぐスズキエンジンの「セブン160」
(C)Cristian Bortes

Text by Rippa Creo

Photo by (C) Alexandre Prévot(main)