身近なフェラーリ、アルファ・ロメオが奏でるサウンド
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身近なフェラーリ、アルファ・ロメオが奏でるサウンド

イグニッションが点火されるとともに、車内へと響き始めるエンジンのサウンド。アクセルを踏み込んだ瞬間から、その音は次第に勢いを増す。走るだけではない。エンジンから発せられるサウンドというのは、車ごとの持ち味もあらわす。ときに“官能的”ともいわれるフェラーリのサウンドはその代表格である。しかし、その価格は数千万円台とたやすく手に入れられるものではないが、同じくイタリアで誕生したブランドであるアルファ・ロメオの歴代シリーズは、その価格帯からも手頃に“フェラーリのサウンド”が味わえる車として知られている。

フェラーリと同じルーツから生まれた“V6”サウンド

アルファ・ロメオとフェラーリの繋がりは、ともにイタリアを本拠地にするというだけではない。1910年に誕生したアルファ・ロメオは、第2次世界大戦以前から、自動車レース界において数々のタイトルを獲得してきた実績を持つ。フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリも、かつてはレーサーとして所属し活躍した。その後、レース部門の責任者としてアルファ・ロメオの栄光を築き上げたが、チーム内の政争により離脱、のちに自らの名を刻むフェラーリを立ち上げた。

経緯を振り返れば、フェラーリの生命を踏襲しているのはいうまでもない。市販された歴代のシリーズにも、フェラーリに追随する“V6エンジン”を搭載した車種が目立つ。1979年から1985年まで販売された高級セダン「アルファ6(セイ)」は、アルファ・ロメオにとっての草分け的な存在。台数こそ満足行く結果は残せなかったものの、エンジンの仕上がりにはいまだ“傑作”として評価する声も聞かれる。このV6エンジンは、アルファ・セイの後継モデルである「164」にも引き継がれた。

1996年に販売開始されたスポーツクーペ「GTV」では、80年代に途絶えた車名を復活させるとともに、名機V6にターボを搭載。セダン系では、「アルファ75」「155」「156」「166」がこの系譜を持つV6エンジンを搭載し、いずれも官能的なサウンドとフィーリングでアルファ・ロメオファンの心を惹きつけた。特に「156」は日本でも大ヒットを飛ばし、アルファ・ロメオを身近な存在にしたモデルだ。
(C)Brandon Lim

4気筒でも楽しめるアルファ・ロメオサウンド

近年では、ラインナップされているモデルの多くが直列4気筒エンジンを搭載しているが、耳を澄ましてみれば、かつてのV6エンジンに通じるアルファ・ロメオサウンドに浸ることができる。愛らしいルックスを持つコンパクト3ドア「ミト」は、街中で放たれる異彩な存在感に“所有欲”をくすぐられるとともに、軽快かつスポーティな走りが魅力的だ。
(C)Maksim Sidorov
1960年代から80年代にかけての名車の名を受け継いだ「ジュリエッタ」は、「147」「156」の後継となるモデルで、1.4リッターターボ・マルチエアエンジンを搭載。
(C)Lukas 3z
よりスポーティな走りを実現した「ジュリエッタ・クアドリフォリオヴェルデ」は、往年の「1750GTV」にあやかって1750cc直噴ターボエンジンを搭載する。いずれも300万円台〜400万円台と、比較的手頃な価格なのが嬉しい。

いま注目すべきは、今年6月にイタリアのアルファ・ロメオ・ミュージアムで発表されたスポーティセダン「ジュリア」だ(メイン写真と下の写真)。60年代〜70年代に名声を得たモデルの名の復活とともに、「75」以来となるFR(後輪駆動)が採用されたこと、そしてV6エンジンが搭載されたことで期待が寄せられている。

フェラーリによりチューニングがなされた最大出力510psのエンジンから繰り出されるサウンドは、アルファ・ロメオの原点を感じられることだろう。
(C)Pava, Milano
新型ジュリアは現在のところ日本への導入は未定。伝統を受け継ぐアルファ・ロメオ本来のV6サウンドを味わえる日が来るのを願ってやまない。エンジンから発せられるサウンドは車ごとの個性であるが、アルファ・ロメオが奏でる音は、いうなればフェラーリを発祥とするイタリアならではのサウンドと呼べるだろう。

Text by Syuhei Kaneko

Photo by (C)Pava, Milano(main)