ロールス・ロイス史上最もセクシーなコンバーチブル
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ロールス・ロイス史上最もセクシーなコンバーチブル

ロールス・ロイスの象徴といわれれば、ラジエターグリル上部に鎮座するフライングレディーを思い起こす。正式名称は、「スピリット・オブ・エクスタシー」。モデルとなったのは、「エレノア・ソーントン」というひとりの女性である。ロールス・ロイス・モーター・カーズの最高経営責任者、トルステン・ミュラー・エトヴェシュは、彼女を引き合いに出して、新モデル『ドーン』をこのように形容した。「エレノア・ソーントンのように、ロールス・ロイス・ドーンは、オーナーが全てに可能性を感じ、みなぎるような一日の始まりをもたらす、まさにミューズ(女神)なのです」。

一切の妥協を排除した最高のコンバーチブル

ロールス・ロイスのモデルは、フラッグシップモデルの『ファントム』、エントリーモデルの『ゴースト』、2ドアクーペの『レイス』と、すべてが亡霊にまつわる名称だった。しかし、今回発表されたコンバーチブル『ドーン』は“夜明け”を意味する。これは、現在のモデルとは一線を画す、まったく新しいモデルであることを示唆しているのかもしれない。実際、『ドーン』は他のモデルとは大きく異なり、エクステリアの80パーセントがオリジナルのボディ・パネルで構成されている。

コンバーチブルとしてのこだわりは、大人4人が快適に旅行できる快適な空間だ。

一切の妥協を排除した最高のコンバーチブル

一般的な4人乗りコンバーチブルは、後席に子供が座れる程度の小さな座席が申しわけ程度にある「2+2レイアウト」だが、そのような妥協はいっさい排除した。

妥協の排除は音にも及ぶ。エンジニアチームが自らに課したのは、世界で最も静かなコンバーチブルを創ること。それを実現させたのが、空気をスムーズに流す滑らかな外装とソフトトップに採用した表面を分割しない「フレンチ・シーム」と呼ばれる袋縫いの組み合わせだ。コンバーチブル・モデルとして初めて、『レイス』とまったく違わないほどの無音環境を誇る。

ちなみに、わずか22秒で開閉が完了し、時速50キロまでであれば走行中でも操作が可能なソフトトップのルーフ開閉も作動音を極力抑えたという。いわく「サイレント・バレエ 音のない舞踏」。なんともロールス・ロイスらしい優美な例えである。

伝統を守りつつ現代的なアレンジのエクステリア

エクステリアデザインは、伝統的なロールス・ロイスのデザイン原理を堅持している。いわゆる、ボディに対するホイールの高さは2:1、長いボンネット、フロントのショート・オーバーハング、リヤのロング・オーバーハング、エレガントに先細るリヤ・エンド、高いショルダーラインという造形だ。

ルーフを閉じているときには、高い位置に配されたショルダーライン、太めのCピラー、上下の幅の狭いサイドウィンドウによって、まるで車高を低くした「ホットロッド・カー」のよう。また、水平方向のラインを強調することで、パワーと幅の広さを印象付けている。

伝統を守りつつ現代的なアレンジのエクステリア

ルーフを明けると、史上最もセクシーなロールス・ロイスが姿を現す。上昇するベルト・ラインと同じ傾きで包まれたリヤ・キャビン周りのラインは、「寒さから首を護るようジャケットの襟を立てたかのような佇まい」と形容されている。

コンバーチブルだけに、インテリアもある意味エクステリア的な要素を持つ。ウッドおよびレザーを組み合わせキャビンと、その中に配されたセパレート式バケットシートは、贅沢さと仕立ての良さを演出。インテリアがエクステリアの印象を補完し、気品と安心感、そして堂々たる存在をアピールしてくれる。

最新技術による乗り心地は「魔法のじゅうたん」

エンジンはほかのロールス・ロイスと同様、6.6リッターV12ツインターボ。最高出力は420kW(570os)/5250rpm、最大トルクは780Nm/1500rpm。トランスミッションは、GPSによってこれから走る道のカーブなどを考慮してシフトチェンジをおこなう「サテライト エイディッド トランスミッション」を採用した8速オートマチックが組み合わされる。

新開発のエア・サスペンションは、ボディ剛性と重量配分が入念に考慮されたものだ。ここにアクティブ・スタビライザーが加わり、ロールス・ロイスの代名詞ともいうべき「魔法のじゅうたん」のような乗り心地を実現している。

間違いなく、世界最高峰のコンバーチブルである『ドーン』。ロールス・ロイスはこのモデルで、女性顧客の開拓を狙っているともいわれている。エレノア・ソーントンが引き合いに出された1台だけに、「スピリット・オブ・エクスタシー」がより引き立つロールス・ロイスになりそうだ。

最新技術による乗り心地は「魔法のじゅうたん」

Text by Tsukasa Sasabayashi