速度無制限のアウトバーンを「AMG」で疾走する
- ドライブ旅行 -

速度無制限のアウトバーンを「AMG」で疾走する

男にとってスピードを追い求めることは浪漫である。だが、どれほど加速力を誇り、スピードメーターが300km/h以上まで刻まれた車であっても、国内の公道ではその性能すべてを発揮することはできない。一度でいいから“時速300kmオーバー”の世界を堪能してみたい…。そんな夢を叶えてくれる場所が、速度無制限区間があるドイツの「アウトバーン」だ。この世界一有名な高速道路は、海外ドライブを語るうえで欠かすことのできないもの。ハイパフォーマンスカーでアウトバーンを疾走すれば、国内では得ることができない異次元の高揚感を味わえるに違いない。

思い通りのスピードで走れる夢のドライブロード

アウトバーンの歴史は古く、1927年にドイツの都市のケルン=ボン間につくられた35kmがこの道路の原型だ。その後、1933年にドイツの政権を握ったナチスが建設に力を入れ、拡大させていった。ナチスがこの高速道路の建設に注力したのは、1929年の世界大恐慌後の雇用の創出と、軍事的に車両の国内移動を迅速にするためだった。非常時には滑走路として使用する目的があったといわれる。
(C)Deutsche Fotothek
建設にあたって重要視されたのが、景観との調和だ。谷や丘など、その土地の自然の形に従い道がつくられた。このコンセプトは、その後、世界の多くの国に高速道路取り入れられたという。さらには長距離走行を考慮して、トイレなどを備えるパーキングエリアも随所に設置。こうした考えを基につくられたアウトバーンは、世界で初めての本格的な高速道路ネットワークとなった。

アウトバーンの設計においてもうひとつポイントとして挙げられるのが、勾配が抑えられたつくりになっている点だ。これは高速走行のためである。アウトバーンには速度無制限区間と速度制限区間があるが、無料なので日本のように料金所で止まるといったストレスがない。それゆえ、自然と車が流れ、スピードを出すことが可能なのだ。
(C)Darkone
アウトバーンの総延長距離はじつに約1万3000km。日本の北から南が3000km、世界一面積が大きい国であるロシアの東から西が1万kmなので、いかに長いかがわかるだろう。速度無制限区間は全体の約50%に及び、交通量が多くなければ、300km/hオーバーだろうと、思うがままのスピードで走ることができる。まさに夢のドライブロードだ。

360km/hまで刻まれた「SLS AMG」のスピードメーター

このアウトバーンをドライブする以上、やはり車は異次元のスピードを体験できるハイパフォーマンスカー、それも地元のドイツ車をチョイスしたい。たとえば、メルセデス・ベンツが誇るスーパースポーツ「SLS AMG ロードスター」。
戦闘機のコクピットのようなドライバーズシートに座ると、目に飛び込んでくるのは360km/hまで刻まれたスピードメーター。写真は2012年のモデルだが、6.3リッターのV8エンジンは最高速317km/h(リミッター作動)、0~100km/h 加速はカタログ値で3.8秒を叩き出す。
料理がその国の風土にあわせてつくられるように、車もその国の地形や文化によって進化を遂げていく。つまりドイツ車は、アウトバーンで走ることを想定して作られているのだ。メルセデス・ベンツ「SLS AMG」のハンドルを握ればその理由が実感できるだろう。

アウトバーンを300km/hで突っ走って「黒い森」へ

ドイツ全土に広がるこの高速道路に乗って目指すべき目的地としておすすめしたいのは「シュヴァルツヴァルト」である。ドイツ語で“黒い森”という意味のこの国立公園は、フランスとスイスの国境にほど近いドイツ南西部・バーデン地方に広がっている。森林浴発祥の地として有名なドイツのリゾート地だ。アウトバーンで思う存分スピードを堪能した後は、黒い森のワインディングロードが待っている。
松が生い茂る緑の景観にのびるこの道のストレートで力強くアクセルを踏み、林を縫うようにつづくコーナーを駆け抜けるドライブができるのだ。まさに車の性能と自らのドライビングスキルを試せる格好の舞台である。

国内では絶対に味わうことのできない300km/hオーバーの世界。車と旅好きの40男なら、一度はアウトバーンドライブを楽しんでみるべきではないだろうか?

Text by Taisuke Seki(euphoria FACTORY)

Photo by (C)Mercedes-Benz(SLS AMG Roadster)